2022 Fiscal Year Research-status Report
ゼロ・トレランス導入校における教師の意識に関する実態調査
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21K02531
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Research Institution | Tohto University |
Principal Investigator |
井 陽介 東都大学, 管理栄養学部, 講師 (40750774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 翔 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (40756855)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生徒指導 / ゼロ・トレランス / 段階的指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は主に①教師へのインタビュー調査の実施と分析、②「ゼロ・トレランス」及び「段階的指導」に関する文献調査を実施した。 ①教師へのインタビュー調査では、「段階的指導」を導入している学校の教師12名を対象に調査を実施した。調査結果から得られた主な知見として、調査校の教師は、「段階的指導」導入前は「生徒指導に対する保護者の理解が得られないと認識していたこと」、「生徒指導が教師の精神的な負担になっていたこと」等が示唆された。また、「段階的指導」導入後では、「教師は生徒指導を行う上で精神的負担や不安の軽減につながっていること」等が示唆された。これらの研究成果の発信は、学会発表及び学術雑誌への投稿にて行う予定である。 ②文献調査では、日本における「ゼロ・トレランス」と「段階的指導」の論じられ方に着目して分析をした。「段階的指導」は、日本で2006年に紹介されて以降、「ゼロ・トレランス」の概念に含まれて論じられてきたことからその具体的な指導内容、有効性や課題は「ゼロ・トレランス」の陰に隠れてしまったことが示唆された。また、それらの理由から今日にの学校の中には「段階的指導」を導入している学校があるにも関わらず、「ゼロ・トレランス=段階的指導」の枠組みの中でしか検討されにくく、「段階的指導」の有効性や課題は詳細には検証されずに今日に至っていることが示唆された。これらの研究成果の発信は、学会発表にて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、「段階的指導」を導入している学校の教師へのインタビュー調査が実施できた。調査結果の分析も大方済んでいることから「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施した教師へのインタビュー調査では、「生徒指導の面で保護者への対応に苦慮している実態があること」や「段階的指導を実践したことで保護者対応の面でも利点があったこと」等の有意義な知見が得られた。今後の研究推進方策として、教師へのインタビュー調査対象者(属性等もより考慮して)をさらに増やし、「段階的指導」の利点や課題を詳細に検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度実施予定であった教師への質問紙調査が実施に至らなかったたことや、研究分担者との打合せや学会等もオンラインで実施したこと等の理由から次年度使用額が発生した。昨年度の余剰分は、主に今後のインタビュー調査の実施費用等に充てる予定である。
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