2023 Fiscal Year Research-status Report
学校教育における「食生活マネジメント能力」育成とライフスタイル形成の構造的研究
Project/Area Number |
21K02540
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
渡瀬 典子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90333749)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 家庭科教育 / カリキュラム / 食生活マネジメント能力 / 食の外部化 / 生活改善観 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究枠組み(1)「食生活マネジメント能力」の具体の抽出と構造化】では、日本・欧米の家庭科教科書、北米の家庭科教育に関する文献収集を引き続き実施し、各々の共通性と差異性について検討した。そして、教員養成系大学で家庭科教育学を担当する教員を対象にした教員養成・研修の現状及び課題について、日本家庭科教育学大会で口頭発表した。この内容に関する論文は、『東京学芸大学紀要総合教育科学系』に掲載された。 【研究枠組み(2)社会経済的側面及び家庭教育から見た日本及び欧米の「食の外部化・社会化」の進行に関する実態分析】に関する研究として、農水省の食育に関する調査資料をメタ分析した内容をもとに、アジア家政学会で発表した。また、昨年度に引き続き、アメリカの「Good Housekeeping」誌の収集を実施した。 【研究枠組み(3)「食生活マネジメント能力」育成に関する日本及び欧米の家庭科教育等のカリキュラム分析】では、日本と欧米の家庭科及び家庭科関連科目の教科書に記載された調理実習題材について分析した。そして、カナダのブリティッシュコロンビア州におけるカリキュラムを通して見た食生活教育の特徴と「食生活マネジメント能力」育成について学会発表を行った。関連研究として、家庭科教育における「ものづくり」に関する研究を実施し、研究成果として、「家庭科教育における「ものづくり」学習の意義」日本家庭科教育学会編『家庭科教育研究が拓く地平』 、「家庭科カリキュラムにおける『ものづくり』を再考する」大学家庭科教育研究会編『ウエルビーイング実現の主体を育む家庭科教育の理論』ドメス出版、の2編が刊行された。 【研究枠組み(4)食に係るライフスタイル形成及び「食生活マネジメント能力」に関する児童・生徒の実態を検証・分析】については、児童・生徒の食に係るライフスタイル形成に関する欧米の先行研究を中心に、収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究枠組み(1)~(3)」について、2023(令和5)年度は関連研究を含め、研究成果の一部を発表(学会発表、論文掲載、図書刊行等)することができた。また、「研究枠組み(1)~(4)」に関連する資料収集について継続実施したが、これらの資料を活用した分析・検証にさらに向かうべく、研究計画を立てていきたい。とくに、「研究枠組み(4)」に関する資料の分析について、今年度は重点を置いて取り組む予定である。同時に、「研究枠組み(4)」で実施する予定の調査について、分析対象、分析方法について、「研究枠組み(1)~(3)」で得られた知見をもとに、具体的な研究の道筋を定め、注力したいと考えている。以上の状況から「(2)おおむね順調に進展している」という自己評価とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024(令和6)年度は「研究枠組み(1)~(4)」に基づき、以下の研究計画で進めることを予定している。 「研究枠組み(1)」については、これまで収集した文献資料ならびにデータ資料の整理と共に、分析を進めていく。今年度はとくに、家庭科教員養成に係る教師教育研究との関連を図りつつ、研究成果を公表できるように努めたい。「研究枠組み(2)」は、これまで検討してきたアメリカの「Good Housekeeping」誌を分析資料として、生活改善観と生活のマネジメントに関する分析を行い、成果を学会発表する予定である。そして、先行研究をもとに「食の外部化・社会化」スケールの検討をさらに進める。「研究枠組み(3)」では、欧米の家庭科(関連)カリキュラムにおける「食生活マネジメント能力」の捉えや、「ものづくり」に係る側面の特徴について検証を進め、研究成果として発表できるように論点整理する。「現在までの進捗状況」の欄で言及したように、「研究枠組み(4)」については研究全体の中で取り組む比重を昨年度までよりも大きくしていき、調査実施が円滑に進められるよう準備したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
2023(令和5)年度は、一部の学会でオンライン実施だったため、予定していた旅費の支出がなかったこと、2024(令和6)年度は、学会参加・発表の際に旅費・参加費用が多くなることが予想されたことから、支出を抑制したため、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(6 results)