2021 Fiscal Year Research-status Report
「文字文化」としての手書き文字の総合的理解および学習方略の研究
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21K02543
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
清水 文博 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40747953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 泰弘 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (00292996)
石井 健 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60323739)
渡部 晃子 帝京科学大学, 教育人間科学部, 助教 (40613493)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文字文化 / ICT / 全国中等学校習字科教員協議大会 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は文字文化と学習環境、学習方法、学習材等について分担、連携しながら調査を進めた。特にICT機器を用いた指導の状況は重点的に調査し今後の文字文化の指導方法の構築にむけた情報を収集した。特に情報機器を用いた指導の最新の状況については、全日本書写書道教育研究会神奈川大会への参加によって有益な情報を得ることができた。文字文化の授業研究も想定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大への対策のため、対面による授業研究会が開催できなかった。そのため授業については中高等学校の教科書教材を抽出、整理し、文字文化の授業研究について教材の視点から検討した。また、本年度は地域の文字文化の資料収集を行った。これも感染症拡大による移動制限により各地に赴いての調査は十分にできなかったが、図書館での文献調査等を活用し資料を収集した。収集と集約の過程では、手で書く文字文化のうち、いわゆる文房四宝、特に筆について作成の過程や材質等に着目することを確認した。 上記のほか文字文化の指導についての基礎研究を個々に行った。本年度は史的研究としてかつて国語科において書道の文字文化を重視した教育が行われたが、これを中等学校の教員が中心となって推進したことについて当初期の状況を調査した。具体的には書道研究会の学書会が昭和3年に文部省に建議案提出を行ったこと、またその後、学書会が中心となって行った昭和6年の第1回全国中等学校習字科教員協議大会を調査し論文執筆した。後者は大阪の開催校に出張し実地調査を行ったものであるが、新型コロナウイルス感染症の感染者数が減少した時期に実施できたことは幸いであった。第1回全国中等学校習字科教員協議大会は、嘉納治五郎等、教育界の著名な人物が参加してとり行われたものであり、その後の国語科の書方教育に与えた影響は大きいものであることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
授業研究等、対面での実施を想定していたものは新型コロナウイルス感染症拡大への対策のために実施できなかった。しかし、情報機器を用いた文字文化の指導については、ICTの利活用についての情報を多く入手でき、研究が順調に進展した。これはオンラインの授業や会議等の環境が整備されてきたことが相乗的に作用したものと考えており、この点当初の想定以上の進行状況である。これらを総合的にとらえると、進捗状況はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度開催できなかった授業研究や、実地で行えなかった資料調査活動を確実に実施したい。これらは研究会を複数回開催し、討議することによって内容を深化させ、発表したい。個別に行っている文字文化に関わる研究についても、研究会等で進捗情報を共有し、個別あるいは共同研究として学会発表したいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、対面で行う予定であった授業研究会等が中止となった。また、それにともない出張が大幅に減少したために次年度使用額が生じた。次年度は、中止した授業研究会や対面での研究会を予定しており、これらの開催に前年度の未使用分を使用する。
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Research Products
(2 results)