2022 Fiscal Year Research-status Report
「文字文化」としての手書き文字の総合的理解および学習方略の研究
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21K02543
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
清水 文博 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40747953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 泰弘 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (00292996)
石井 健 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60323739)
渡部 晃子 帝京科学大学, 教育人間科学部, 助教 (40613493)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 書写・書道の教育課程 / 文房四宝 / 漢字仮名交じりの書 / 書の様式 / 文部省著作教科書 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は文字文化の基礎研究、学習方法、学習材等について研究した。本年は中止されてきた対面の会議や学会、授業研究会が開催された。各研究分担者は、全日本書写書道教育研究会東京大会、全国大学書写書道教育学会静岡大会への参加等により、文字文化に関する最新の研究状況を把握し対面での意見交換も行った。12月には研究分担者による研究会を開催し、文字文化研究についての研究進捗状況の報告を行った。個々の異なる研究テーマの把握のほか、共通課題として「①現状把握としてのICTの導入状況②毛筆書道の目標論や価値③書芸術と教養」を討議した。手書き文字の学びにおける文字文化を説得力のあるものに整理すること、用語整理など今日の指導に生かす方策を探ることを確認した。 本年度発表した文字文化の個々の研究としては、書写・書道の教育課程、教科書と文房四宝、漢字仮名交じりの書、書の様式についての実践、戦後初期の中学校教科書についてがあげられる。このなかには「漢字仮名交じりの書」があるが、本年より「漢字仮名交じりの書」と文字文化についての研究を開始した。「漢字仮名交じりの書」への着目は、書としての文字文化を考えるときに、漢字と仮名が交じっているかどうかという形態への着目というよりも、それらが混じっていなくとも「日常のことばと表記」が文字文化研究の基本になるべきという考えに基づいている。漢字の書と仮名の書には確かな古名蹟が存在することは確かであるが、その二つの分類にとらわれない古名蹟や資料整理を行うことなど、今後の文字文化研究の方向性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究会開催による文字文化研究の方向性の確認と、雑誌掲載の論文によって制度を中心に文字文化を把握できた。資料収集と整理など、一部滞っている部分はあるが、漢字仮名交じりの書への着目など新たな研究内容の広がりがあったことがあり、全体としては概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、個々の研究を集約ながら文字文化の指導法について具体的に検討する。個々の研究は研究会によって集約するが、特に言葉の学びと文字文化について中心に据えた研究会を開催する予定である。文字文化の整理方法については、令和4年度に取り組んだ日常表記を中心として文字文化を整理しようとする見方によって、書の各分野の文化の整理を行いたい。また、文字文化の教材に適した史料の調査研究をする。令和5年度は感染症対策による地域移動の制限はほとんどなくなる見通しであるために、遠方の史料調査も行いたい。また、前年度に引き続き、用語整理のための資料収集と授業研究を行い、成果を生かした論文投稿を継続する。
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Causes of Carryover |
3年前から継続している新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応のために、授業研究や移動による資料収集、人件費を伴う資料整理業務が当初の予定ほどには遂行できなかったことによる。当初予定していた資料整理等は次年度以降に行うこととし、計画的に使用する。
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Research Products
(5 results)