2023 Fiscal Year Research-status Report
Construction of the digital archive of learning units designed with contents and guidance sheet for the self-learning
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21K02545
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伏木 久始 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00362088)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自由進度学習 / 資料アーカイブ / 自律的な学びの支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、単元内自由進度学習が求められる背景を,少子・人口減少社会における中山間地域の教育課題の解決と重ねて明らかにし(伏木:「へき地・小規模校の教育実践を支援する大学教員に求められること」日本教育大学協会研究集会など),日本個性化教育学会での招待講演では,フィンランドの教育実践と関連付けながら,一斉授業スタイルの授業だけにパターン化することなく,個別最適な学びをフル活用した学びのあり方を適切に導入して,子ども一人ひとりが自己調整的な学習経験を積むことの必要性を強調した。こうした考え方は,奈須・伏木編著の『「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を目指して』(北大路書房)にも集録した。また,単元を実践するプロセスで,子どもの主体的な学びを教師はどのように支援するかのかを考察するために,ケアリングのアプローチから授業分析を行った小学校低学年の授業や,理科の題材でプログラミング学習を対象とした高学年の授業を事例として,個別最適な学びに必要な教師の支援を考察した。 こうした知見をもとに,Google Classroomを活用した基礎的なコンテンツの資料BOXを作成し,限定的ではあるが,教師が単元内自由進度学習を実践しようとする際の学習材等のサンプルが集積するフォルダを閲覧できるデータベースを構築できた。 令和5年度は,デジタルアーカイブの完成を目標にしていたが,「単元内自由進度学習」を導入したいと学校現場から指導・助言のリクエストが激増したことで,コンテンツのアーカイブの構築よりも先に「何のために導入するのか」といった教育理念や学習指導の目的を強調することに傾注する必要性が高まったことや,文書資料のみならず動画を有効活用した資料映像も有効な学習材であることが明らかになったことから,研究期間を一年間延長してより充実したアーカイブの構築を目指すべく計画を修正した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は単元内自由進度学習の学習材等をアーカイブしたデータベースを構築する予定であったが,単なるPDF等のドキュメント資料を分類整理したものよりも,動画を有効活用した資料映像も有効な学習材であることが明らかになったことから,研究終了の時期を一年間延長し,文書や静止画データのみならず,動画資料も含めた多様なアーカイブサイトを作成することに変更した。また,「単元内自由進度学習」を導入したいと学校現場から指導・助言のリクエストが激増したことで,コンテンツのアーカイブの構築よりも先に「何のために導入するのか」といった教育理念や学習指導の目的を強調して学校現場の先生方に実践サポートをすることに傾注する必要性が高まったことなどから,当初の計画通りには進まず,進捗が遅れたが,むしろ学校現場の試行実践に伴走しながら単元開発する機会が増え,より充実したアーカイブの構築が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
既に構築してあるGoogle Classroomを活用したアーカイブの基礎的なデータベースを発展させ,教科ごとの単元ツリーに紐付けたアーカイブを構築する。そのために,これまでの研究協力校に加えて,新たに単元内自由進度学習に取り組み始めた学校にも連携協力を依頼し,実践者同士が単元開発し合えるネットワークの構築を同時に進める。 最終的には単元内自由進度学習に取り組む教師同士が,オンラインで教材研究をし合える仕組みづくりと合わせて,学習材等の使い易いアーカイブを構築する。
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Causes of Carryover |
令和4年度は信州大学より一年間のサバティカルをいただき、フィンランド国立教育研究所の客員研究員としてユバスキュラ市に滞在していたが、その年度末に帰国して、令和5年度の公務に復帰した際、あまりに違う日常の労働環境に体調を壊してしまって日本での研究の再スタートが遅れたことが一つの原因である。また、自由進度学習の実践に取り組む研究協力校において、予定通りの授業が準備できない事態が生じたことが二つ目の理由である。 さらに,単元内自由進度学習の導入に際しての指導を要請される機会が激増した学校現場の状況において,ハウツーよりもその目的,指導理念を優先して理解していただく必要性が高まったことも,このプロジェクトの進捗を遅らせた大きな理由となった。そして,当初の計画では文書資料の学習材等を分類整理する視野で考えていたアーカイブを,動画等の映像資料を含めたアーカイブ化を再検討するなかで,研究期間を一年延長することにした。
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