2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of an Educational Program to Support Human Multitasking Control in Business Game Learning
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21K02558
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Research Institution | Shoin University |
Principal Investigator |
立野 貴之 松蔭大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50564001)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ビジネスゲーム / マルチタスク / スマートフォン / 視線追跡 / 教科「情報」 / アイトラッキング / 非認知能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高校生のマルチタスク制御における情意的側面に影響を与える要因を明確にし、より充実した学習支援を組み込んだBGの教育プログラム開発である。教育プログラムでは、申請者が開発した同期型ビジネスゲームの「ビジネスゲームPrice Game」を利用する。2021年度は、前研課題の最終年度計画であるビジネスゲームを利用したプログラミング教育環境に関する教育現場での評価を行い、詳細な分析を行った。この実践に関しては、2020年度に速報的な研究成果を報告している。並行して、学生を対象に複数人で会話をしながら、タブレット、スマートフォン、PCを利用する日常場面においてマルチタスク発生の特徴を抽出するために必要と考える調査と実験の内、以下の2つの内容を実施した。 ①タブレット、スマートフォン、PCの場面でマルチタスクを誘発させる実験調査 ②視線追跡を利用し学生が画面のどこを見ているのかを随時記録する実験の準備 実験の①に関しては、2021年の7月の国際会議、8月の国内学会で報告を行った。報告では、タブレットによるビジネスゲーム学習では、意思決定を行いながら「会話をする、視線を送る」等の行動が学習に影響を与える可能性があることを仮説とし、実践に参加した学生を3グループ(タブレット、スマートフォン、PC利用別)に分け学生の意識を測定してマルチタスクの特性を検証した。その結果、日常的にスマートフォンで一定のマルチタスクを行っている学生は、無意識のうちにタスクを制御し、自身の行動を確認していることが示唆された。現在は、学生の目の動きに特化した分析を行うための予備実験の準備をに着手している。 さらに、申請者の研究では、ビジネスゲーム学習やマルチタスクが非認知能力(社会情動的スキル)と関連する可能性を示唆している。その非認知能力を測定するための探索的研究をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響もあり、当初の予定より実験の協力者となる学生の人数が少なく、高校生を対象とした実践は延期となった。また、オンラインを利用した調査が多く、対面による実験が十分に出来なかった。そのめ、対面の実験によるデータ収集は次年度も継続が必要である。一方、学習支援システムの改良や、非認知能力に関する分析するなど、先にすべきことを進めたため、研究計画に遅れは最小限であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「①タブレット、スマートフォン、PCの場面でマルチタスクを誘発させる実験調査」「②視線追跡を利用し学生が画面のどこを見ているのかを随時記録する実験後の結果」から抽出されたマルチタスクの特徴分析を行い、AI学習用データを作成する予定である。また、以降の実験で必要なマルチタスクの記録作業においては、システムの利用がタスクとしての負担にならないようにする必要がある。そのため、①②の作業において利用した直感的なインタフェースが必要であり、過去に開発したアノテーションシステムを教師データを評価・抽出するシステムとして改良している。この改良したアノテーションシステムを利用し、マルチタスクの類似性を比較した評価を行う予定である。現在は、そのための準備が進行中である。 また、Price Gameを利用した仮授業モデルの実践調査と分析、改良したPrice Gameの検証を複数回に渡り実施する。そして、開発と検証の過程で問題発見と改良の相互作用を繰り返し、学習環境の質を高めていく。この理由は、現時点を最新とする一時点での分析に加えて、時系列の変化に注目する分析にも重点を置くためである。検証では、実践授業を複数クラスで行い、質問紙のデータを収集、参加者へのインタビューから多面的な分析を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当該年度に計画していた高校生と大学生を対象とした授業における一部の実験を次年度以降に延ばし、一部のアルバイト料などの謝礼の支出を必要としなかったためである。また、国内外の発表は全てオンラインで開催されたため、出張旅費も発生しなかった。 2022年度は、出張旅費、消耗品費(デスクトップ、ノートPC、タブレットなど)、謝金(開発費)からの使用を主に計画している。また、コロナの影響がなくなれば、7月以降に開催される国内の発表や国際会議への参加を検討しているための旅費を使用する。 2023年度以降も、システム開発と改良にかかわる支出は、調査と授業実践の知見により慎重に設計が継続的に必要であると考えるため、研究開始から3年目以降も経費が必要になる。
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Research Products
(6 results)