2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K02563
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
千々岩 弘一 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 特任教授 (90163724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 慶子 長崎大学, 教育学部, 教授 (40264189)
劉 卿美 長崎大学, 言語教育研究センター, 教授 (00346941)
前原 由喜夫 長崎大学, 教育学部, 准教授 (60737279)
長岡 由記 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (90615915)
松崎 泰 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (10806160)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高次の認知活動 / デジタルリテラシー / 手書き / 文章作成能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「『PenはKeyboardよりも強し』なのか」は、高次の認知活動(推論、アイディア産出、文章産出など)に、キーボード入力をはじめとするデジタルツールによる書記活動が「手書き」と比較してどのような影響を与えるのかを明らかにし、日本語の読み書き能力並びにそれらを基盤とする能力を低下させずにデジタルリテラシーを育成していく糸口を追究しようとするものである。 この研究目的を達成するための基礎的な段階として、2021(令和3)年度はオンラインによる会議を、以下のような要領で実施した。 第1回会議は、5月23日に、ZOOMによって会議を行った。内容としては、研究同人の顔合わせを兼ねて、本年度の研究計画(KHコーダーによる文章評価に関する研修会の実施。「創造性」に関する先行研究の収集。2022年度実施予定のノルウェーにおけるDigiHandプロジェクトに関する情報集。)について打ち合わせを行った。第2回会議は、11月23日に、ZOOMによって講演及び意見交換会を行った。内容としては、京都大学医学系の研究者に、漢字の手書き習得と文章作成能力との関係性について、脳科学的な視点からの研究成果を踏まえた講演をいただき、それを踏まえて研究同人との意見交換を行った。第3回会議は、2022年3月2日に、ZOOMによって会議を行った。内容としては、研究同人である東北大学の松﨑泰助氏から、国語学力と生活習慣・読書習慣との関係に関する脳科学的研究成果に関する報告を行ってもらい、その研究内容から本研究のあり方について研究同人で意見交換を行った。あわせて、2022(令和4)年度の研究計画について意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、Writing Modality(手書き・キーボード入力・フリッカー入力)の使用状況と認知(推理・推論、言語処理)との関係を調査研究した「世界標準のLiteracy育成プログラム開発のための基礎研究―時間・身体・過程-」(JSPS科研費 JP18K02646)を踏まえ、手書きする能力とデジタルツールで書記する能力のそれぞれを適宜切り替えて書記する能力を育成するための課題を析出するために、大学生を被験者とした調査研究を実施する予定であった。しかしながら、コロナ禍の影響もあり、この調査研究が十分に行えなかった。 そのため、この調査研究を行うための基礎作業としての先行研究・関連研究の成果に学ぶための講演会・意見交換会などを中心に活動した。 以上のような結果から、「やや遅れている」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022(令和4)年度は、大学生を被験者としながら、デジタルツールの使用履歴や使用に関する習慣と認知能力・脳活動との関係性に関する調査研究や、高次の認知活動(推論、アイディア産出、文章産出など)に、キーボード入力をはじめとするデジタルツールによる書記活動が「手書き」と比較してどのような影響を与えるのかを明らかにするための調査研究を実施する。 状況が許せば、研究計画に組み込んでいる、言語学習にデジタルツールによる書記活動を早期に導入しながら「子どもたちが最低限の手書き学習を受けられるように国がガイドラインを整備する必要がある」とコメントしているノルウェーの研究機関やスタバンゲル大学のアンネ・マンゲン教授のもとを訪れ、資料の収集及び研究のあり方や課題などについての意見交換を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、調査研究に必要な打ち合わせや意見交換を対面で行うための旅費などに残額が生じた。また、大学生を被験者として行う予定の実験・調査研究ができなかったことによる物品購入費に残額が生じた。 残額については、次年度の予算と合わせて、ノルウェーでの情報収集・意見交換のための旅費や大学生を被験者とした調査研究のための費用として活用する予定である。
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