2022 Fiscal Year Research-status Report
生徒の多様性尊重の学習共同体を組織する国語科教師の学習指導観変容プロセスの解明
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21K02575
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
丸山 範高 和歌山大学, 教育学部, 教授 (50412325)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国語科教師 / 教師の語り / 外国につながる生徒 / 国際バカロレア / ナラティヴ・アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実績は、①研究目的に合致する高校国語科教師を協力者とする現地対面調査の実施、②調査結果を整理・分析し、その一部を全国規模学会で口頭発表する準備を整えたこと、の2点に集約される。 ①現地対面調査 文化的背景の多様な学習者が相互主体的に学び合う授業を組織する国語科教師の経験に基づく専門的知見の解明という研究目的にしたがい、外国につながる生徒の学習指導に関与している高校国語科教師、および、国際バカロレア・ディプロマ・プログラムを担当する高校国語科教師、それぞれ対象とした現地調査(授業観察・インタビュー調査)を実施した。授業観察では、教師のどのような働きかけ(教材提示・発問・指示・説明など)が生徒のどんな言葉の学びに結実しているかという授業の事実の把握に努めた。また、インタビュー調査は半構造化インタビューとして行い、言葉の学習の目指すべき内容とそれに至る学習指導プロセス、特徴的な生徒に関わる学びのエピソードなどを聞き取り、それぞれの教師が持つ国語科の学習指導観の解明を試みた。 ②調査結果の整理・分析 現地調査により得られた教師たちの語りはすべて文字化しナラティヴとしてとらえ、ナラティヴ分析を行った。語られた内容(何が語られたか)と形式(どう語られたか)を分析し、教師たちの経験的・専門的知見を導き出した。教師たちは、文化的背景の多様な生徒を学習指導するようになってから、教師の意図する学習内容を生徒に一方向的に伝達・吸収させる授業展開から、生徒が主体的対話的に学習内容を構成する授業展開へと授業スタイルを変容させていたため、その変容に伴う意図や葛藤など、教師の経験内容を概念化した。これらの分析結果のうち、外国につながる生徒を学習指導する教師に関わる研究成果は、第144回全国大学国語教育学会・島根大会(島根大学:島根県松江市)にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス拡大により現地調査が制限された前年度とは異なり、研究目的に合致する協力者を一定数確保するとともに、調査が実施できたからである。上半期のうちに、多くの研究協力者を確保し、順次調査日程の調整を終了させることができた。下半期には、現地調査とデータ分析・解釈を集中的に行うことができ、その成果を学会発表へつなぐことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はさらに調査事例を増やし、文化的背景の多様な生徒を学習指導する国語科教師の経験的・専門的知見の多様性を解明することを目指す。さらに、得られた成果を教師以外の専門家の知見と対照させ、共通性と固有性を考察することを目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度の実支出額は、当初の支払請求額を上回ったが、新型コロナウィルス感染拡大により前年度に現地調査ができなかったため、前年度未使用分による次年度使用額が生じた。次年度使用額については、現地調査数を増やすことで計画的な予算執行に努める予定である。
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