2021 Fiscal Year Research-status Report
中等・高等教育において青年が親となるための教育をどのように構築するか
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21K02577
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今川 真治 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (00211756)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 親教育 / 家族観 / 家庭展望 / シラバス分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,今後3カ年にわたる研究遂行のための基盤作りをすることに注力した。具体的には,国内の高等教育機関において実施されている,どのようなカリキュラムが,青年に対する親教育や子育て環境に関連したものであるかについて,主として大学等の授業のシラバスを収集する作業を行った。 また本研究課題においては,将来家族を形成して親となり,子育てをする準備段階にある大学生も親教育の対象と考えているが,その大学生が,将来家庭を持つことをどのように捉えているのかという,いわゆる家庭展望を明らかにすることも研究の目的としている。このことに関連して,日本家政学会誌第72巻12号に「親との関係及びこれまでの生活経験が大学生の未来の家庭展望に及ぼす影響-家族観,生活観を媒介して-」の論文を掲載した。本論文では,大学生の学年や性別にかかわらず,家族形成や過程形成への肯定的なイメージを持つ大学生は多いものの,どのような家族や家庭を形成するかについては,具体的に考えようとしていないことを明らかにした。また,未来の家庭展望の形成は,大学生自身の家族観及び生活観形成によって規定されることが示された。本研究の結果は,青年が親となるための教育を検討する上で,重要な布石となった。 さらに研究代表者は,本研究課題に関連した研究として,代表者が所属する大学の附属幼稚園の子どもの保護者を対象にした弁当製作に関する研究を長年にわたり継続して行っている。この研究においては,幼児を育てている母親や父親が,子どもの生活の1つの基盤である昼食(弁当)を製作することをどのように捉えているか,弁当を始めとする食を通して親の愛情を子どもに伝えているかを明らかにすることをテーマに据えている。この研究も,将来子どもを持つ青年が,子どもの食や食を通した親と子の紐帯をどのように形成したり維持していくかを考察することに繋がると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画当初には,今年度の研究計画としてアメリカ合衆国Seattle市への情報収集のための渡航と,アメリカ合衆国Atlantaしで実施される国際家政学会(IFHE)に出席しての情報収集および同分野の研究者との情報交換を実施する予定であったが,コロナ感染拡大の影響により,同国への渡航が制限されたことと,予定されていた国際家政学会の開催が1年間延期されたことにより,実際のデータ収集が実施できなかった。 さらに新型コロナの影響は,国内出張の機会も低下させ,国内の他大学の研究者との情報交換にも支障をきたすことがあった。対面での検討をオンラインによる検討に変更するなどして対応したが,実際の資料の交換や実物を前にしての検証などにおいては,これを十分に実施することが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年予定されていながら実施されなかった国際家政学会が,次年度に開催されることが決定したため,同国際学会に参加して,これまでの研究成果を発表するとともに,同分野の研究者と情報交換を行い,本研究課題遂行に有益な情報の収集を行う予定である。 さらに次年度からは,国内の高等教育機関において実施されているカリキュラム検討を推進するために,これまでに大学等の授業のシラバスを収集する作業とそれをまとめる研究の実績がある,山陽学園短期大学の権田あずさ氏を研究協力者に迎えることにより,この領域の研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当省の研究計画では,昨年度内にアメリカ合衆国Seattle市近郊へのデータ収集と,昨年度にアメリカ合衆国Atlanta市で開催予定であった,国際家政学会(IFHE)に参加を予定していた。しかし新型コロナの影響により合谷への渡航が制限され,さらに国際学会が延期になり,開催されなかった。このことにより,当初予定していた海外出張ができなかったため,外国旅費を消費することができなかった。 同国際学会は今年度に延期して開催されることとなったため,今年度は出張する予定である。次年度使用額となった研究費は,今年度の外国旅費として使用する予定である。
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