2021 Fiscal Year Research-status Report
リスク社会と教員養成の研究-With coronaのなかの問題解決思考の育成-
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21K02583
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Research Institution | Kaichi International University |
Principal Investigator |
坂井 俊樹 開智国際大学, 教育学部, 教授 (10186992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三石 初雄 東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 名誉教授 (10157547)
寺本 妙子 開智国際大学, 教育学部, 教授 (20422488)
鈴木 隆弘 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (40433685)
土屋 陽介 開智国際大学, 教育学部, 准教授 (40806494)
小瑶 史朗 弘前大学, 教育学部, 教授 (50574331)
金子 真理子 東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 教授 (70334464)
冨田 俊幸 開智国際大学, 教育学部, 准教授 (70883370)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コロナ禍 / 深い学び / 授業実践 / 格差貧困 / サプライ・チェーン / 内戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、コロナ禍の影響もあり、対面式での研究会や調査研究は実施不可能であった。そのためにオンラインでの学習会や研究会を実施し、またメール等での議論を展開した。また併せて職場単位では対面式の議論を部分的には展開させてきた。研究の中心は、初年度ということもあり、coronaパンデミックを背景とした現代リスク社会に関する学習会を開催した。2回の外部講師を中心とした学習会、そして1回の本科研分担研究者による問題提起と研究会を開催(ZOOM)した。 ・第一回研究会 華井和代氏(東京大学未来ビジョン研究センター講師):テーマ「コンゴの紛争状況と紛争資源問題の現状」についてご報告いただき、日本企業のサプライチェーンなどについて議論した。分担研究者とともに、小中高校の教員が15人ほど、それに高校生が5人ほど参加した。SDGsのもとで、資源の分配と先進国企業の責任の在り方が具体的に示され、広い視点からの教育実践の課題が示された。 ・第二回研究会12月28日にオンラインで開催した。今日の教育改革と「深い学び」論について検討した。とくに松下佳代氏の「深い学び」論を取り上げた。3人の報告があり、坂井俊樹(代表)、冨田俊幸(分担研究者)、寺本妙子(分担研究者)が批判的に分析、提案した。そこでは、内容と教材(コンテンツ)の分析がもっと深められる必要があるとの議論が展開され、つねにコンテンツと一体化させた資質能力論でなければならないとした。 ・第三回は、2022年2月6日(日)に開催した。講師は、大阪府豊中市福祉部福祉事務所所属(ケースワーカー)の東村愛子氏と岡崎葉子氏である。テーマは、「豊中市での生活保護世帯と子どもたち」で、生活保護世帯という最前線で活動されるケースワーカーの状況を知ることができた。教育実践上の課題を議論をした。 以上の報告と議論の成果は、文字起こしして、今後の研究の枠組みとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で当初の計画を変更せざるを得なかった。一つは、コロナ禍での教員養成カリキュラムの対応を考える方向であったが、その基礎研究がもっと必要であることが認識できた。 そのために小・中・高校の教員にも参加いただき、コロナ禍のもとで進行する格差・貧困状況と国際的な視野の在り方(見方・考え方)をもっと知る必要があった。それは今日教員養成でも強く要請される資質能力論、とくに中核的には「思考・判断・表現」にかかわる諸能力の育成と児童・生徒に対する指導力を育てることが求められていることにかかわっている。つまり、私たちの認識が、ミクロな生活保護という状況とアフリカコンゴという遠隔地における内戦と資源問題というマクロな問題を、換言すれば多様な観点を持つことが前提となり、そのうえで、それぞれの社会問題や国際問題の当事者意識に迫ることができる必要である。そうでなければ資質能力論も宙に空論となり浮いたものと考えられる。教職課程においては、そうしたコンテンツと結びついた能動的な探究とコンピテンシーの育成が重要と考えられる。 その点で、今年度は、一定の方向と議論が展開できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、しばらくはコロナ禍が継続すると思われる。そうしたもとで、教職課程のカリキュラム研究を進めるうえで、優れた小・中・高校の教師たちの授業づくりを分析して、理論化していくことが不可欠と考えている。そのために複数の大学の教職課程の比較研究を進め横断的な研究の視点とともに、教育現場から立ち上げる実践研究として進めることにした。教職課程カリキュラムの構成の視点として、今年度の学習会の連続として、当面デューイの経験主義教育論に着目して議論と実践を考えていくことにした。その上で、研究を以下の柱で進めることにしている。 ①分担研究者による開智国際大学、弘前大学、東京学芸大学、高千穂大学などの教職課程の在り方と課題を報告し合い、共通する課題や相互の学びを明らかにする。できれば韓国の環境教育のカリキュラムからも学ぶ。②外部講師による学習会と議論を展開する。来年度は第一回は、デューイの新しい解釈の教育論を、藤井千春氏(早稲田大学教育学部・教育哲学)から講義を受け、議論する。それ以降も継続していく。③小・中・高校の教員による社会的な課題に関する教育実践の基礎的研究をすすめる。参加は、15人ほどで、定期的な実践的な研究会(2-3か月に一回開催)を並行させていく。 ①②③を総合して、教職課程カリキュラムを新しい観点から再編成する試みをしたいと考えている。とくに複合化させた科目や融合科目などを導入できればと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、学会の研究大会への対面での参加や研究活動における実地調査が困難な状況となり、旅費の支出がなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額については、新型コロナウイルス感染症の感染も収まりつつあり、学会の研究大会への対面での参加や研究活動における実施調査も少しづつ実施できるような状況になりつつあるので、旅費の支出に充てる。また、オンラインでの研究会の実施における記録として音声データの文字起こし、文献調査における書籍の購入に活用する。
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Research Products
(16 results)