2022 Fiscal Year Research-status Report
リスク社会と教員養成の研究-With coronaのなかの問題解決思考の育成-
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21K02583
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Research Institution | Kaichi International University |
Principal Investigator |
坂井 俊樹 開智国際大学, 教育学部, 教授 (10186992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三石 初雄 東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 名誉教授 (10157547)
寺本 妙子 開智国際大学, 教育学部, 教授 (20422488)
鈴木 隆弘 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (40433685)
土屋 陽介 開智国際大学, 教育学部, 准教授 (40806494)
小瑶 史朗 弘前大学, 教育学部, 教授 (50574331)
金子 真理子 東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 教授 (70334464)
冨田 俊幸 開智国際大学, 教育学部, 准教授 (70883370)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教職独自性 / 教職課程と学生の成長 / 中教審答申 / 教師としての成長 / 教育実践力 / 授業力育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、二つの研究グループで進めることにした。①は、分担研究者を中心とした研究会や学習会を継続させた。②は、教員養成を臨床的に考えるために、研究協力者である小・中・高・大学の教員との教育実践を核とした研究会である。①は次のような活動を行った。・2022/5月28日(土)藤井千春氏(早稲田大学)「ジョン・デューイの民主主義教育論の再評価について」に講演をいただき、意見交換を行った。・2022/8月31日(水)韓国「社団法人 自然の友研究所」所長 呉昌吉(オ・チャンギル)氏「韓国の生態観教育(地球環境問題)の実践について」を韓国からご講演いただき議論した。・上野正道氏(上智大)「デューイの民主主義教育と経験の意味」の講演と議論を進めた。・2023/1月6日(金)学習会「教職課程と学生の学びの比較研究についてー中教審(答申)を踏まえてー」(報告者・坂井)。以上の活動を踏まえて報告書執筆に向けての課題を議論した。 ②は次のような活動を行った。・2022/6月26日(日)教師としての成長と教育実践について報告と議論を行った。(会場・東京学芸大附属竹早中学校、以下同様)・2022/9月6日土)児童・生徒の実態と資質能力論の課題について。・2022/10月13日(日)教師としての成長と優れた教育実践の関係性についての報告と議論 ・2023/4月9日(日)まとめの研究会で以上の二つの方向での議論が進められ、分担研究者の勤務先大学での「学び手」として教職履修学生がどのような課題をもち、またそれをどのように乗り越え、そして現在教職についての状況を描き出すこと。また中堅教員としての研究協力者の「授業づくり」「教師としての現在」に至るプロセスを授業づくりに焦点化して描き出してもらう。その上で、中教審で指摘する学生・教師としての個別最適な学びの議論をしてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、これからの未来社会のもとでの教員の資質のあり方について、とくに「リスク社会」を視点に教職課程の再構築を目指してきた。その際に私たちが直面してきた「コロナ・パンデミック」という未曾有の危機は、教職課程の基盤にある人間観や科学観や教科観(教育課程)の再考を迫ってきた。とりわけ重視されるのは、危機に対する冷静な科学的な分析やそれに対する判断力と行動力が考えられる。そのために教師教育(教職課程での学びと教師としての成長)を通した、個々の(主体)に対する自覚と成長の重要性を考えてきた。 現行の教職課程の基盤には、小・中・高生に育成すべき資質能力の観点から「個別最適な学び」を指導できる能力の育成が求められている。確かに個々の児童・生徒の個別的・個性的な学びを指導し、学びの充実感が持てる教育実践の力量が必要と考えられる。中教審答申「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方につい」(2022年12月19日)にはじめてこの点が示され、教師自身の個別最適な学びと成長の必要が指摘された。こうした指導者として教師を目指す学生や現職教師を学びし続ける主体として見なしたのである。教職課程の場合、そうした観点で考えたとき、教職課程が全国一律に制度設計されるのではなく、各大学の独自性を持った教職課程のあり方も重視される必要があろう。そうした大学の個性やまたその大学の個々の学生の個性や状況を十分に勘案した教職課程運営がより自覚的になされる必要があろう。先に示した①の研究では、分担研究者の勤務大学の教職課程の特色を洗い出し比較し、研究した。今日の多様化する教職課程履修者学生に向き合った教員養成教育を考えてきた。また現職の教師たちの成長をとくに授業力に焦点化して、力ある中堅教師のライフストリーを描き出してきた。そこから見られる教職課程への示唆点は少なくない。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究を継続させていくのであるが、先に指摘したように分担研究者の勤務大学の教職課程の特色を洗い出し比較研究してきたが、本年度はより深めて報告書原稿としてまとめていきたい(可能ならば書籍として出版)。今日の多様化する教職課程履修者学生に向き合った教員養成教育の多様なあり方と教師としての個々の成長の基礎作りと考える。 また研究協力者である現職の教師たちの成長を、とくに授業力に焦点化して、力ある中堅教師のライフストリーを描き出す事例をまとめる。授業のイメージは前期科研(坂井代表)「「社会的排除」と「包摂」の教育実践」に示された優れた教育実践は、いかにして生まれたのかという問題意識に結びついている。その教育実践に至る教師の成長と葛藤、また授業づくりのための影響などを自己分析してもらい報告してもらう計画である。そこから見られる教職課程への示唆する点は少なくない。 この両者の報告を議論して総括的な報告書作成を目指す。報告書原稿は、2023年10月を目指す。全体議論を経て、年度内に報告書として刊行する計画である。可能ならば書籍としてまとめたいと考える。
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Causes of Carryover |
2022年度もコロナ禍が終息せず、海外出張や国内調査、また研究協力者の小・中に授業参観が出来なかったり、また対面の研究会が実施できず、オンラインで行ったりしたことに予算が計画通り支出できなかった。また最終年度に可能ならば研究成果を書籍として刊行したいと考えており、出版計画(報告書)がようやく2022年度末に概要が詰められた。そのための製作費のために予算を可能な限り残したいと考えた。 書籍と刊行するには原稿の締め切りを2023年度の早い段階で分担研究者と研究協力者に提出してもらう必要があり、原稿作成のための研究協力者の支出も必要となってくる。また韓国の環境教育の教育実践をを学ぶために、訪韓も必要であり、そのための予算が不可欠となる。以上のいくつかの理由で、最終年度にできる限りの予算の集積を考えた。
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Remarks |
韓国の学校教育における環境教育を支援するための設立・活動している機関で、共同研究では、オ・チャンギル理事長にオンラインで講演と研究交流を行った。
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Research Products
(15 results)