2022 Fiscal Year Research-status Report
小学生に対する包括的・段階的なアンガーマネジメント・プログラムの開発
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21K02585
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
稲田 尚子 帝京大学, 文学部, 准教授 (60466216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺坂 明子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10760176)
下田 芳幸 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (30510367)
黒山 竜太 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (30533468)
四辻 伸吾 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (50882362)
石田 航 帝京大学, 文学部, 助教 (60745157)
尹 成秀 帝京大学, 文学部, 助教 (70793793)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 児童 / アンガーマネジメント / 社会性と情動教育 / 段階的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小学生3~6年生を対象としたアンガーマネジメント・プログラム『いかりやわらかレッスン』の改訂版を用いて、全国多施設共同研究での1次的支援の効果検証を主として、学校における段階的な支援への展開を行うことを目的としている。 2年目である2022年度は、関東地区の1小学校(3年生計2学級)および関西地区の1小学校(4、5年生計4学級)で『いかりやわらかレッスン』を実施し、また関東地区の2小学校(4,5年生計7学級)でその短縮版の実践を行った。 児童の自由記述による感想について、テキストマイニングツールであるKHコーダーを用いて分析し、プログラムの効果について検討を行った。児童の自由記述の回答から、『いかりやわらかレッスン』を受けた児童は、「知る機会」「上手な伝え方」「いかりやわらか作戦(コントロール方法)の使用」に見られる記述等から、レッスンを受けるまでは気づかなかった視点を得ることができ、アンガーマネジメントに向けてレッスンで学んだ方法を日常生活でためしたいという感想を抱いていることが推察された。 また、暴力行為を未然に予防するような支援に活用するための基礎資料を得ることを目的として、小学生を対象に学校場面で怒りが喚起される出来事について探索的な検討を行った。「これまでに学校であった、はらの立ったできごとを、ひとつ教えてください」と教示して、児童に自由記述での回答を求めた。得られたテキストデータを、3名で KJ法に準じて分類し、合議によってカテゴリを生成した。5 の大カテゴリ(言語的攻撃、物理的攻撃、関係性攻撃、期待との不一致、共感/反感)、9 の小カテゴリが生成され、小学生が学校場面で怒り感情を喚起される事象が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の目的であった一次的支援の効果検証は順調にデータが蓄積できている。質問紙の回答結果について、量的な分析に加え、質的な分析も実施できてきており、効果について多角的に検討できている。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校の通常学級における『いかりやわらかレッスン』の導入については、今後も順調に協力校が確保できる見通しである。他方、本研究の目的である二次的、三次的支援を含む段階的支援については、同じ協力校内での実施協力をいただくことが難しい可能性が出てきており、支援ニーズの高い児童のみを対象にした小集団支援等の実行可能性も検討していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス蔓延により、研究実施規模を縮小したため、計上していた人件費の差額が生じた。2023年度は積極的に、これまでの研究成果を発表していくため、研究協力者をさらに確保し、使用する計画である。
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