2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on Emotional Analysis and Developmental Support for At Risk Students
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21K02586
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
八並 光俊 東京理科大学, 教育支援機構, 教授 (70210284)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生徒指導 / 情動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、COVID-19の影響により、調査協力校(公立A小学校およびB中学校の2校)に直接出向いての情動把握アプリFEELBOT(以下、FEELBOT)の設定や教員研修が、当初の計画より遅れると共に、調査協力校と協力保護者の意向を反映して研究の重点を変更した。具体的には、以下の通りである。なお、固有名詞は、アルファベットで表記し、匿名化している。 〔1〕研究対象と重点 (1)当初の計画では、中学生としていたが、小学5年生3クラスと中学1年生4クラスを対象とする。発達段階の異なる小学生と中学生を対象に、二年間の追跡調査を行う。(2)研究テーマをAt Risk生徒の情動分析と発達支援方法としていたが、At Risk生徒の情動分析に力点を置いて、そこから発達支援方法への示唆を得たいと思う。 〔2〕研究経過と成果 (1)研究年度前半(4月から8月)では、調査協力校を管轄するC教育委員会と協議を重ね、研究の合意文書をとりかわした。また、保護者への協力依頼を協力校で行ってもらい了解を得た。(2)FEELBOTは、タブレット等にインストールするため、NECの協力の下、児童生徒用と教員用にインストール作業を実施した。インストール後は、実際に使用する教員にFEELBOTの目的や操作を理解してもらうために、研修を実施した。(3)研究年度後半(9月から3月)では、調査協力校で、FEELBOTを使用した研究を開始し、情動データを蓄積した。(4)FEELBOT情報の内、数値データで記録される情動データ(心の顔・心の色・幸せ得点)を収集し、情動の変動分析に重点を置いて行った。分析に際しては、学業面・行動面などで教員が気になる児童生徒(At Risk生徒)の情動変動とその他の児童生徒の情動変動を比較した。その結果、前者の児童生徒の方に、評価が全般的に低くなる傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画より、やや遅れている理由は、大きく次の三点である。 第一の遅延理由は、COVID-19により、当初予定していた教育委員会や調査協力校との合意形成と研究協議、FEELBOTの設定・動作確認および操作に関する研修が、予定通りに実施できずに、遅れてしまったためである。研究実施においては、調査協力校を管轄する教育委員会の了解を得る都合上、相当の時間がかかった。また、教育委員会内にFEELBOTデータのサーバーを設置するため、その許諾を得るまで相当の時間がかかってしまった。調査協力校も、児童生徒のCOVID-19防止対策のため、研究協議や研修の日程調整が難しかった。 第二の遅延理由は、調査協力校ではGIGAスクールも進みつつあるが、FEELBOTに関しては、独立したアプリ運用となり、なおかつ、直感的操作は可能であるが、研究開始が遅れたことによって、教員の慣らし期間が後にずれ込んでしまったためである。 第三の遅延理由は、教育委員会及び調査協力校と協議した結果、保護者との合意形成も考慮すると、シンプルにFEELBOTで情動の記録をとるのがよいということになり、教育委員会も、対象を中学生だけでなく、小学生に広げて、発達段階による傾向が知りたいという要望があり、計画の再調整が必要になったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の残り二年間の研究推進の方策として、以下のように考えている。 〔2022年度〕 第一に、COVID-19の影響がなければ、今年度でFEELBOTの運用については、計画通りに進むと予想している。したがって、現状を維持することでよいと考えている。第二に、本年度の研究は、やや遅延したため、研究成果を学会発表する、あるいは、学術論文等にまとめるなどできなかった。しかし、本年度のFEELBOTデータの蓄積があるので、次年度は当該データを分析して、学会で発表し、なおかつ、学術論文として公表するつもりである。 〔2023年度〕 FEELBOTにより収集された2021年度データと2022年度データを活用して、発達段階による情動の変動分析を行い、発達段階による特色があるのか、また、気になる生徒に情動の変動に傾向性があるのか検証を行いたい。また、その成果については、学会発表や学術論文等で公表するつもりである。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、調査協力校や教育委員会との研究実施の合意形成や覚え書きの取り交わし、FEELBOT環境設定、教員研修などが、当初の予定より遅れていまい、旅費の執行が予定通りに行えなかった。また、中学校で、実施予定の教育相談調査は、研究協議の結果、実施を見送ったため執行が行えなかった。 当該助成金については、研究対象が増えたことによって、NECへのデータの抽出・編集作業の経費への支出が増え、今年度1月から3月までの同作業で、相当部分が執行される。また、COVID-19の影響がでなければ、定期的な研究協議による旅費や学会発表の旅費で執行される。
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