2021 Fiscal Year Research-status Report
セルフスタディに着目した大学教員の指導力量の向上方法に関する研究
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21K02591
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
村井 潤 武庫川女子大学, 教育学部, 准教授 (90610890)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 省察 / 課題の設定 / 教師教育者 / 力量形成 / セルフスタディ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、教員養成教育を行う大学教員の力量形成について、「セルフスタディ」という考え方に着目して、自分自身で授業を分析して力量形成につなげていくための手法を開発することを目的としている。 2021年度は大学教員が自身の模擬授業を「省察」する方法を開発することを目的として研究を実施した。当初、この方法について、状況を細分化して分析する「樹形図」を用いて「問題の分析」を行う方法と、「樹形図」による分析結果を「実行可能性」と「改善の有効性」という2つの軸で分析する「マトリクス」を用いて「課題の設定」を行う方法の実施を想定していたが、今年度は「マトリクス」を用いた「課題の設定」を行う方法に焦点化して実施した。 「マトリクス」を用いた「課題の設定」を行うことが「省察」の方法として妥当であるかを検証するために、教員養成教育の一環として行われる模擬授業を実施した学生に実施させた。これは、開発した方法が将来有効に活用されていくために、特定の条件を満たした事例のみに有効に働くのではなく、ある程度一般的に活用できる方法とする必要があるためである。 研究の結果、学生に模擬授業を振り返らせると、多種多様な内容の振り返りを行うことができており、その数は次の実践で意識しながら解決できる数より多いと考えられた。しかし、それらを「マトリクス」で分析させることにより、次の実践で意識すべき課題として焦点化することができていた。この結果は、「マトリクス」を用いて「課題の設定」を行うことの有効性を示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年の研究では、状況を細分化して分析する「樹形図」を用いて「問題の分析」を行う方法と、「樹形図」による分析結果を「実行可能性」と「改善の有効性」という2つの軸で分析する「マトリクス」を用いて「課題の設定」を行う方法の実施を計画していたが、「マトリクス」を用いて「課題の設定」を行う方法の開発にとどまっている。そのため、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、コロナウイルス感染症対策の一環としてクラスサイズを小さくして実施しており、その都合上、模擬授業の振り返りの時間を十分に確保することができなかった。2022年度は授業実施方法の制限が緩和される予定であるため、「樹形図」を用いた「問題の分析」方法の実施を予定している。また、当初の計画通り、大学教員に開発した方法を用いて模擬授業を「省察」させ、開発した方法の有効性を検証したい。
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Causes of Carryover |
令和3年度の予算は物品費のみで400千円であった。研究課題応募時の計画よりも予算が少なくなったことから、物品を精選する必要があったが、研究資料として研究対象者の授業動画等を収集し、パソコン上に保存、編集などをする必要があるため、パソコンのスペックを落とすことはできない。そのため、まずはパソコンの購入を行い、その後余った予算内で必要な物品を購入する予定であった。必要なスペックをもつパソコンの機種を選定し、業者に見積もりを依頼したが、生産終了となっており後継品もないということが判明した。同等品について再度見積もりを依頼して購入を検討したが、年度内に手続きが終わらない見込みとなったため、次年度使用額が生じた。そのため、令和4年度はパソコンを購入したうえで、他の物品についても合わせて購入していきたい。 また、研究旅費については、対面での学会開催が予定されており、積極的に研究発表を行うために使用していきたい。
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