2021 Fiscal Year Research-status Report
乗法概念領域の局所的なカリキュラムの臨床的開発に関する研究
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21K02593
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
市川 啓 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 准教授 (20624745)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 乗法概念領域 / カリキュラム / 実践の開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
月に1回程度のペースで、研究協力者と研究会を行った。 研究第1年次にあたる2021年度は、まず研究の全体構想について共通理解を図った。その上で、研究協力者それぞれの担当学年でどのような実践ができそうか,その構想について検討した。6学年を担当する門間教諭とは、「乗除の相互関係」「基準の交換」「分数表記」を視点として、平成27年度全国学力学習状況調査算数B大問2(2)のような基準量を求める場面の学習指導の改善を図る実践開発を行った。5年を担当する伊藤教諭とは「均質化」「乗除法の意味と用いられる場面のすり合わせ」を視点として平均に係る実践開発を行った。工藤教諭とは、「等分比例」を題材にして、等価交換の場面で子供が操作可能な問題場面を開発し、3年生を対象に、指導的インタビュー調査を行った。併せてご自分のお子さん(小学校低学年児童と未就学の幼児)を対象にて「比例的推論に関わる基礎的な能力」を調べるインタビュー調査を継続的に行った。また、3年生を対象に「量と割合の分離」という視点で、「分数にあたる大きさ」を考える実践開発を行った。成澤教諭とは「共変」という視点を加えて、1年生を対象にたし算とひき算の単元で実践開発を行った。また,それ以外の単元でも、乗法概念の基礎を形成するためにどのような活動が可能かを考え、実践を行った。実践後は記録をもとに、これらの実践について、分析・考察を行った。門間教諭と工藤教諭、成澤教諭とは,これらの成果を数学教育の学会で口頭発表した。なお、伊藤教諭は22年度に発表予定である。年度後半からは海外の比例的推論の認知研究に関する論文の輪読会を行った。 研究協力者と共に、宇都宮大学日野圭子先生が開催する研究会に参加させていただき、小学校1年生~3年生の比例的推論の基礎について研究を行った。 自身では「割合」の教授・学習について割合研究を進めるための基礎となる内容をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者の担当学年が上手く分散したおかげで、様々な学年を対象にした、実践開発を行うことができた。それに伴い、カリキュラムの視点の候補と、その視点から見た実態が少しずつ明らかになってきた。 一方で、コロナ禍の影響で、相互に授業を見合う機会が設定できず、研究会もオンラインと対面を併用するハイブリッドで行ったが、ワークシートなどのデータをその場で見合って議論するような活動が思うようにできず、研究会の持ち方などに難しさがあり、質的な分析やその共有が思うようには、すすめられなかった。 以上のことを踏まえ,概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、研究2年次(5年計画)になる。 これまでに開発してきた実践やそこで得られた学習者の様相を、乗法概念の形成の視点から、評価し、可能性、適時性、困難性、系統性等について検討し年間指導計画に位置づけていくことを目標にする。その際、学習機会等が不足している部分,系統性が上手くない部分、理念はよいが,実践として上手くいって以内部分について、新しい実践を開発したり、修正実践を行ったりしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により学会オンライン開催になったこと、授業研究会等視察に行けなかったこと、研究分担者との研究会も概ねオンラインになったことにより、旅費の執行が計画を下回った。 次年度コロナの状況により、もし対面での活動が再開されれば,旅費の補填をし、それに伴ってデータ収集が活発に行えるようになれば、データ整理等の謝金が発生するので、そちらにあてていく予定である。一方、コロナの状況次第では、授業記録をさらに蓄積していってもらう必要が生じ、記録保存用の媒体が必要になるため,そちらにあてていく予定である。
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[Book] 算数教材研究 割合2022
Author(s)
市川啓、高橋丈夫、青山尚司、加固希支男 編著
Total Pages
174
Publisher
東洋館出版社
ISBN
978-4-491-03759-2