2022 Fiscal Year Research-status Report
高校道徳における討議型授業の理論構築とオンライン学習の活用
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21K02595
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小川 哲哉 茨城大学, 教育学部, 教授 (80194439)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 討議型授業 / 高校道徳 / オンライン学習 / ICT教育 / 高大接続事業 / 教員養成系大学 / 対面授業 / 生命尊重 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アクティブ・ラーニング授業の代表的な一形態と言われている「討議型授業」実践に、「オンライン学習」を組み合わせることで高校道徳の討議型授業の新たな可能性を模索し、効果的な道徳授業の指導法を開発することである。 令和4年度は、令和3年度に引き続き、全国の公・私立高等学校におけるICTを活用した授業実践と高校道徳授業の実態調査や、国公私立大学の教職課程における道徳教育に関する視察を行い、本研究テーマに関する基本的な情報収集・調査等を行った。 まず、高等学校におけるオンライン授業実践だが、令和4年5月28日に茨城県の私立A中・高等学校の医学進学コースの中・高校生に、GoogleのMeetを使ったオンライン授業を実施した。テーマは「献体について」で討議型の道徳授業を実践した。同校では10月8日にもテーマ「臓器移植について」をめぐるオンライン授業を行った。公立高校では、令和4年7月7日に茨城県立B高校にて、Zoomによるオンライン授業で、高校3年生を対象に教職の魅力についてのアクティブ・ラーニングを行った。同じく茨城県立C高校では、令和5年1月19日にZoomによるオンライン授業を行い、高校1・2年生を対象にして、ICT時代に求められている教師の力量形成について討議した。 視察については、令和5年3月5日~7日にかけて、福岡市の私立D高等学校を訪問してICT教育の実態を調査した。すでにタブレット端末と電子黒板を活用した授業を様々な教科で行っており、今後もICT活用に力を入れることのことであった。ただ情報系の教員不足が深刻な問題になっていた。大学の教員養成教育における道徳教育の視察としては、令和5年3月3日に東京都文京区のF大学、3月17日には東京都新宿区のG大学、3月20日には横浜市鶴見区のH大学、3月27日には大阪府吹田市のI大学を訪問して、教職担当者協議した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は前年度同様に、本研究テーマに関する基礎的な情報収集と調査を実施するとともに、実際に高校道徳のオンラインによる授業実践を行うことができた。公立、私立の各1校でオンライン授業を実践し、GoogleのMeetや、Zoomによるオンライン授業実践の研究実績を上げることができた。 ただ、令和4年も12月までは、コロナ禍の影響で、全国の高校現場における道徳授業実践の調査や、国公私立大学の教員養成教育における道徳教育の視察が十分に行えなかった。視察ができるようになったのは、令和5年の3月に入ってからである。視察は、私立高校1校、国立大学2校、私立大学2校で実施できたのみである。北海道地区、東北地区、山陰地区への実態調査は、令和5年度に入ってから行いたい。 このように令和4年度もコロナ禍の影響を受けたが、3月以降には全国への移動が可能となったので、最低限度の調査や視察は出来ている。そのため進捗状況はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、前年度十分に行えなかった地区の高校道徳授業実践の視察と授業実践調査を引き続き行いたい。未実施の地区は、北海道地区、東北地区、山陰地区、沖縄地区である。未実施地区では、公立・私立高校における道徳授業実践の視察と、大学の教員養成教育における道徳教育の実態調査やICTを活用した授業実践の視察を行う予定である。 さらに、令和4年度に実施した高等学校のオンライン授業実践の成果を受けて、令和5年度は、さらにオンライン授業の可能性を模索したい。引き続き公立高校と私立高校においてオンライン道徳授業を実施してその教育効果を検証したい。特に本年度は、進学校だけではなく、教育困難校においても道徳授業実践を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の問題のため、視察・調査・授業実践の実施計画が大幅に遅れている。さらに、授業分析に関わる人件費予算の執行も進んでいないので、本科学研究費助成事業の研究は、令和6年度まで延長する予定である。 その理由の一つとして、視察・調査・授業実践を積み上げ、その成果を学会等で発表する準備が十分にできていないことがある。令和6年度までこの事業の研究を継続させることで、日本教育メディア学会や日本道徳教育方法学会等での発表や、その成果を高校道徳授業の指導資料等にまとめて、刊行することができる。これにより質の高い研究成果を広く一般にも公開することができるように思う。
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