2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K02604
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
篠原 陽子 岡山大学, 教育学域, 教授 (50335832)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ESD / SDGs / 被服学 / 衣生活 / 家庭科 / 教育内容開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,持続可能な衣生活を構築するために,被服学(家政学)の視点から,生活者の衣生活と関連する持続可能な開発目標(SDGs)を整理し,衣生活における今日的課題の解決をめざすとともに,その成果をもとに,子どもたちの持続可能な生活を実現するために,小・中・高等学校家庭科衣生活領域のESD教育内容を開発する実践的研究である.本研究は次の4段階で進める.1. 生活者の衣生活(被服行動)にかかわる持続可能な開発目標(SDGs)を整理する.2. 1を基に持続可能な衣生活の実践に向けた衣生活管理シートを開発・実践する.3. 1,2を踏まえた小中高等学校家庭科衣生活領域のESD教育内容を開発する.4. 研究全体を総括し,課題や限界を整理する. 研究2年目の2022年度は,研究計画に従い,①被服学の国内外の学術書・学術雑誌,関連する資料を分析しまとめた.②IFHEが示したSDGs共通認識に,持続可能な衣生活の実現のために必要なGoal4,Goal13を加えて,SDGs衣生活指標の作成を試みた.③関連する研究動向を把握するために日本教科教育学会第48大会(愛媛大学)に参加して資料を収集すると共に,ここまでの成果「持続可能な衣生活における被服管理―環境負荷低減意向別洗濯用洗剤の選定結果―」を発表した.また,国際家政学会IFHE(米国開催,オンライン参加)(審査有り)において,「Sustainable clothing care: Laundry detergent selection by university students」を発表するとともに,関連する発表を視聴し,研究動向を把握することができた.④被服を資源として捉えるための被服材料学実験ならびにESD教育内容開発を行った.2022年度の研究では,衣生活におけるSDGs・ESDについて基礎データを蓄積することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の研究計画に従い研究を進めることができた.本課題研究の前に,科研基盤研究C (一般)平成27年度~平成31年度の研究課題「持続可能な衣生活の基礎的研究」(課題番号15K04438)で有益な成果が得られていたため,それをもとに研究開始前に既に一定の基礎データを得ることが出来ていた.この研究に引き続いて,本件研究課題が採択されるまでの間にも研究を進めることができたこと,初年度2021年度の研究が順調に進んだこと.そのうえで, 2022年度の研究計画のうち,特に,持続可能な衣生活の実現に向けて,生活者の被服行動にかかわる「SDGs衣生活指標」作成のための基礎資料を整理することができたことは大きい.また,「被服は資源である」という視点から,被服材料を理解するための実験を導入したESD教育内容開発を行った.以上より,2022度の研究目標を十分達成することができたものと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究3年目は,研究計画に従い次の①から④に取り組む. ①前年度に作成したSDGs衣生活指標に基づき,LCA評価手法を導入した衣生活管理シートを開発する(ペーパー版とデジタルファイル版). ②環境と気候変化に対応するための被服の着方を実践するための被服衛生学実験ならびにESD教育内容を開発する. ③日本教科教育学会と国際家政学会IFHE 2024大会参加に向けて,発表要旨ならびに発表原稿を作成し,審査の準備を行う. ④ここまでの研究成果をまとめて日本教科教育学会誌に投稿する.
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Causes of Carryover |
2022年度の研究を進めるにあたり必要な額を執行することができた.さらに2024年度に国際家政学会IFHEがアイルランド(ゴールウェイ)で開催されることが分かった.これに参加して研究発表し,資料収集ならびに海外研究者との意見交換を行いたい.そのための費用確保のため,次年度に残しておく必要があることから差額が生じたものである.2023年度にアブストラクトならびに発表原稿を作成し,英文校閲などの経費が必要である.そのための費用として使用する計画である.
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