2021 Fiscal Year Research-status Report
中高生自殺予防教育プログラムの構築~大学生ゲートキーパー関与の検討~
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21K02608
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
大門 俊樹 東京福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (80594647)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中高生 / 自殺予防教育 / 大学生ゲートキーパー / SOSの出し方に関する教育 / SOSの受け取り方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大学生ゲートキーパーを関与させた中高生自殺予防教育プログラムの構築を目的としている。初年度である令和4年度は、これまでと同様に、大学生ゲートキーパー養成としてのワークショップ開催に力を入れてきた。 6月より、令和4年度の心のブランコ(ゲートキーパー養成ワークショップ)実行委員会を立ち上げ、9月18日(土)に第1回ワークショップを開催し、42名の参加があった。第1回ワークショップでは、ゲートキーパーとしての基礎知識や学生実行委員が作成したシナリオロールプレイなど、身近な内容を通した入門編として実施した。 3月26日(土)実施の第2回ワークショップは中級編と位置付け、ゲートキーパーの基礎知識について再確認したうえで、苦手な人と接する場合や拒否的な反応について考える内容を取り上げた。2回ともバックアップ研修の機会を設け、ワークショップ後にゲートキーパーとしての自分を振り返る取り組みも行った。 9月4日(土)~5日(日)には、日本自殺予防学会にて、「福祉系大学における大学生ゲートキーパー養成の取り組み~心のブランコ開催を振り返って」と題し、ポスター発表を行った。 学校教育現場においては近年、「SOSの出し方に関する教育」の必要性が叫ばれているが、本研究では、「SOSを受け取る存在」としてのゲートキーパーに焦点を当てて進めていくべきであるという点が確認できた。初年度においては、最も重要なこの点についての研究活動を進めることができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年次の計画のうち、学生向けワークショップ(通称:「心のブランコ」)による大学生ゲートキーパーの育成の継続と、自殺予防教育研究グループの立ち上げについては進めることができている。ワークショップについては、参加者数、内容ともに充実したものになってきており、ゲートキーパー育成としての成果が現れてきている。ただ、自殺予防教育に関するグループ化はできているものの、ワークショップの計画・運営に注力してきたこともあり、自殺予防教育研究に関しては、その入り口に入った状況であるといえる。自殺予防教育におけるスクールソーシャルワーカーの関与については、各地の情報を収集しながら模索中である。 自殺予防教育の実践に関する情報整理については、所属する日本自殺予防学会や日本生徒指導学会等を通じて収集した情報をもとに関連文献の収集を進めることができているが、それら文献研究に現在取り組んでいるところである。次の段階といえるSOSの出し方に関する教育と自殺予防教育の概念整理については、緒に就いたところであるが、今後計画的に進めてまいりたい。 日本とともに自殺大国である韓国における自殺予防教育に関する情報収集と、学校社会福祉の実践者・研究者との連携については、新型コロナウィルスの感染状況が見通せないなかであるが、現在、韓国学校社会福祉士協会関係者とのやりとりの中で情報収集を進めているところである。今後の連携の可能性については、双方で模索中の段階であり、当面はリモート会議などの方法により、双方の情報交換を進めながら、韓国への視察についても検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したとおり、1年次の計画については、やや遅れているところであるといえる。 ゲートキーパーの育成については、引き続き「SOSの受け取り方」に焦点を当て、令和4年度も年2回の学生向けワークショップを通して継続して取り組み、更にレベルアップしていきたい。令和4年度については、研究グループにおいて、自殺予防全般についての研究を継続しながら、ワークショップの企画・運営を進めていきたいと考えている。内容面では、中級編から応用編へ発展させることを考えている。これまでの取り組みをもとに、大学生ゲートキーパーが関与した効果的な中高生自殺予防教育プログラムの作成を試みたい。 SOSの出し方に関する教育と自殺予防教育の概念整理については、緒に就いたところであり、最新の情報を収集整理しながら、令和4年度も引き続き、進めてまいりたい。 2年次に計画している「自殺予防教育とスクールソーシャルワークに関するセミナー」については、開催単位、連携する学会などの団体をどうするかという課題があり、現在検討中であるが、計画通りに進めていきたい。 韓国における自殺予防教育に関する情報収集と、学校社会福祉の実践者・研究者との連携については今後も継続する。さらに、令和4年度は、新型コロナウィルスの感染状況を注視しながら、韓国への視察についても実施可能かどうか検討したい。 また、昨年度と同様に、日本自殺予防学会においての発表に加えて、同学会誌への投稿も検討するとともに、他の関連学会での発表・投稿も模索する。
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Causes of Carryover |
令和3年度については、これまで取り組んできた学生向けワークショップによる大学生ゲートキーパー育成に注力したことと、新型コロナウィルス感染症拡大による移動制限のため現地調査や各種学会への参加を見送ったことから、研究経費に計上していた国内旅費・外国旅費については全く使用していない。そのため、調査協力者への謝金も生じていない。その代わりに、カラーレーザー複合機や自殺予防関係図書の購入に充てたが、上記金額が次年度使用額となっている。 令和4年度については、新型コロナウィルス感染症拡大の状況も注視しながら、国内外の調査、各種学会への会場参加、関係者との打ち合わせなども検討し、適切に経費を使用していきたい。 また、令和3年度については主に国内図書の購入を行ったが、最新図書をさらに補充していく必要がある。令和4年度については、国内のみならず、アメリカ・韓国などの外国文献の収集のためにも経費を使用していきたい。資料収集時に使用するためのファイルなどの文具類、通信費、複写費についても、令和4年度にはさらに必要になると考えられるため、次年度使用額も含め、適切に使用していきたい。
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Research Products
(1 results)