2022 Fiscal Year Research-status Report
Empirical and systematic examination of transformation of college education
Project/Area Number |
21K02624
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金子 元久 筑波大学, 大学研究センター, 特命教授 (10185936)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 大学教育 / 大学教育改革 / 大学教育の日本的特質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は応募者は2000年台末から申請者が行った、計5回の大学生、大学教員調査の分析にもとづいて、21世紀に入ってからの日本の大学教育の変化を、長期的な視点から俯瞰的に分析しようとするものである。そのため本年度においては、日本の大学教育の明治以来から変化を構造的に把握し、それによって21世紀にはいってからの変化が、長期的にみればどのようなコンテクストにおかれているかを分析した。具体的には次の作業を行った。 第一に、大学教育の変化を把握する理論的な枠組みを形成した。大学教育については、①教育・学習の動因として、一方でカノンの修得、他方で探究的な思考、②教育・学習の管理において、一方で学習の目的の達成、他方で教育・学習過程の統制、③組織的な形態として、機能的な形態としての授業、帰属集団による相互啓発、という三つの軸において様々な具体的形態がとられていると論じた。 第二にこれをもとに、国際的な観点、ことにドイツおよびアメリカにおける大学教育の歴史にあてはめて、それぞれの特質を論じ、さらに日本について明示以来の日本社会の中で大学教育が形成してきた特質を論じた。 第三に以上の基礎にたって、21世紀初頭から2020年に至る約20年の間に、日本の大学教育にどのような変化が起こったのか。またそれはどのような背景をもっていたかを分析した。そのために各種の行政文書を整理し、政策的な背景と具体的な施策、大学内での授業方法の変化、その背景となる大学内部の組織的な力学を分析した。結果として政策の意図に反し、日本の大学教育は、より学生の要求に沿うものとなり、学生の評価もより好意的になったものの、教室外の学習時間はほとんど変化しなかったことを示した。現在はそこから日本の大学教育のあり方にどのような含意をくみ取るかを分析している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にしたがって着実に資料を収拾し、分析を行っている。作業は時間を要しているが、予想外の困難があるわけではない。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗状況に示したとおり、当初に想定していた作業が進んでおり、これをさらに進めて、さらに必要な資料、文献を収拾するとともに、これまで進めてきた分析の論点を明確、かつ整合性のあるものにする。またそれによって、総合的な報告書として数点の刊行物を作成する
|
Causes of Carryover |
当初はハーバード大学文書館において資料調査を行う予定であったが、コロナ禍によって不可能となったので、次年度におこなうこととした。
|
Research Products
(2 results)