2023 Fiscal Year Research-status Report
多死社会を支える「終末期の話し合い」の卒前医学教育プログラム構築
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21K02631
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
山木 照子 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (50806750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉下 美保子 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (20378079)
石木 学 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 准教授 (10422627)
名嘉地 めぐみ 琉球大学, 医学部, 講師 (60632015)
工藤 直志 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30711907) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 医療者教育 / 人生の最終段階における医療・ケア / End-of-Life discussion / 学習者中心の教育 / 倫理観・死生観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学習者にとっての特有の難しさに対応した効果的な「終末期の話し合い」(End-of-Life discussion: EOLd)の卒前医学教育プログラムの要件を明らかにすることを目的とする。2023年度は、教育プログラム構築のための研究を、下記の通り実施した。 1)コンピテンシーの設定:本研究課題で取り組む「終末期の話し合い」を事前に繰り返し行うプロセスである、アドバンス・ケア・プランニングについて理解することが、医学教育モデル・コア・カリキュラムの2022年度改訂により医学生の学修目標となった。医学教育モデル・コア・カリキュラムは、医学生が卒業時までに習得すべき必須の学修目標等を示すものである。この改訂を受け、研修医に調査協力を依頼するアンケート調査票の調査内容を再検討し、倫理申請を行った。 2)医学生の学びについての把握: 2022年度に実施できなかったアンケート調査を実施し、学習方略検討のための示唆を得た。災害の影響により、2023年度に実施予定であった医学生へのアンケ―ト調査1件を、2024年度に延期することとした。当該の調査は、2024年4月に実施済である。加えて、医学生が学習経験を臨床能力へつなげていく過程を明らかにするため、14名の高学年医学生に協力を得たインタビュー調査結果についてデータ分析を進めた。EOLd、および予後を伝えることに関する考えについて、中学年と高学年学生のアンケート調査結果をまとめ、学会発表を行った。 3)トライアル授業の設計、実施と評価:授業実施と評価に必要な準備を進めた。具体的には、授業計画や進行表の暫定版作成、ロールプレイにおける模擬患者との打ち合わせやトレーニング、機材手配などの準備を行った。ロールプレイの準備に関しては、模擬患者に協力を得て、全3回を予定するトレーニングのうちの第1回トレーニングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)EOLdに関する医学生の学びについての把握に関しては、当初の計画よりも多くの大学において医学生に調査協力いただきデータを取得し、分析を進めることができている。 2)研修医と指導医に調査協力を依頼するコンピテンシー設定に関しては、倫理申請に時間を要し、データ取得が計画通りできていない。 3)トライアル授業設計・実施・評価に関しては、模擬患者トレーニングや授業進行表の暫定版作成などの必要な準備を進めている。 以上より、2023年度の進捗はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、コンピテンシー設定のためのデータの取得・分析と並行し、トライアル授業の設計・実施・評価を行って、学習者にとっての特有の難しさに対応した、効果的な「終末期の話し合い」の卒前医学教育プログラムの要件を明らかにする。当初は、1)コンピテンシーの設定、および2)医学生の学びについての把握研究の結果をもとに、3)トライアル授業を設計する計画であったが、COVID-19感染拡大の影響等により、データ取得が計画通りできていない。そのため、研究者間の協議により研究計画の見直しを行い、1)コンピテンシー設定研究と、3)トライアル授業の設計・実施・評価研究とを並行して行うこととした。 トライアル授業は、2024年8月の実施を予定し、準備を進める。 EOLdの卒前医学教育プログラムに関する研究成果により、医学教育モデル・コア・カリキュラム(2022年度改訂版)において医学生の学修目標となった、アドバンス・ケア・プランニングの教育方略について検討する際にも有用となる基礎資料を得られることが期待される。広く研究成果の公表を行っていく。
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Causes of Carryover |
2023年度に予定していたトライアル授業、および調査の多くを2024年度に実施することとしたため、当該調査のための出張旅費、調査協力者への謝礼、逐語録化代金などのデータ分析費用、および結果公表のための費用について、次年度使用額が生じた。 2023年度に当該調査やトライアル授業、結果公表に関連し使用を予定していた費用は、2024年度に繰り越して使用予定である。
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