2023 Fiscal Year Annual Research Report
新たな地域志向教育のための大学生の地元就職決定要因の定量的研究
Project/Area Number |
21K02634
|
Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
津曲 隆 熊本県立大学, 共通教育センター, 教授 (90163881)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津曲 達也 聖学院大学, 基礎総合教育部, 助教 (50866621)
中里 陽子 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 講師 (60644820)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 地域志向教育 / 長期的影響 / 大学生 / トピック分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究で、大学生の就職地選択に大学の地域教育はほぼ影響を与えていないことが示唆された。ただし、地域教育は、就職後に影響を与える可能性はある。最終年度では地域教育の卒業後の長期的影響についての調査研究を行った。 ある大学の一研究室に着目し、この研究室を卒業した卒後1年目から16年目までの社会人を対象に地域教育の影響を調べた。調査対象者はこの研究室を卒業した201名の中の連絡可能な172名(年齢22~40歳)である。質問紙調査に対し148名から回答があった。その中の123名が同研究室での地域活動を通して学びがあったと回答していた。ただしそれは単発ではなく継続的な地域活動を通してであった。学んだことで役立っていると思うことを自由記述によって回答してもらった。それを構造的トピックモデルによって分析した。その結果、Topic1(他者の話を聞くことの重要性)、Topic2(地域の人と課題解決した経験)、Topic3(報告・連絡・相談(コミュニケーション)の重要性)、Topic4(地域の魅力発見とその可視化経験)、Topic5(地域についての深い理解)という5つのトピックが抽出され、これらが社会人となった後に地域教育の効果として顕在化していた。トピックに卒業後年数依存性があるかどうかを調べた。重回帰分析の結果、Topic3と4について卒業後の年数について有意差が認められた。社会人としての新人の時期はTopic3のコミュニケーションという実践的スキルを重要する傾向があったが、社会人経験を増していく中で、地域活動で学んだ発見力と可視化のスキルを重視するようになることがわかった。 この研究により、地域教育は就職先の選択には影響を与えないものの、学生時代の継続的な地域活動は卒業生が社会人として働く上で長期的に影響を与えていることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)