2021 Fiscal Year Research-status Report
大学の進学機会均等化対策の射程:カナダの大学のアウトリーチ・プログラムの分析から
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21K02640
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
佐藤 智美 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (80240076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 滋 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 名誉教授 (30212294)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カナダ / 大学 / 進学 / 機会 / オンタリオ / トロント / プログラム / 中等後教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の点について明らかにした。 1.オンタリオ州の高等教育政策:オンタリオ州では、大学間の同質性・均質性が高かった。しかし、近年、社会的および経済的発展のためには高等教育は大変重要であり、その発展のために寄与しなければならないとの考えの下、「差異化」政策が採られるようになった。その政策の柱の一つが「学生の構成」である。すなわち、「人口比に比して少ない集団」の高等教育へのさらなるアクセスと成功を目指すことが重要だとされている。 2.トロント市教育者協議会(CET)によるアクセスプログラム:トロントにある大学等から構成されるCETは、従来、中等後の教育(大学、高等教育カレッジ、アパレンティスシップ)を視野に入れてこなかった者を対象に約160の中等後教育アクセスプログラムを提供している。内容としては、①中等後教育へ進学するための資格要件を満たすためのプログラム、②成人向けのオンタリオ中等教育修了資格などを取得するためのプログラム、③進学意欲向上・サポートのためのプログラム、④語学力向上のためのプログラム、に大別される。 3.「マックマスター子ども若者大学:MCYU」: マックマスター大学のMCYUは、オンタリオ州ハミルトン市に住む社会経済的に不利な状況にある子ども・若者を対象として、大学でのSTEAM科目(科学、技術、工学、芸術、数学)教育に対する熱意を抱かせ、大学教育を受けるための力を付けさせることを目的としている。 MCYUのプログラムは、①ファミリーレクチャー、②ハミルトン市中でのワークショップ。③デジタル・プラットフォーム、④プログラム運営・実施のための訓練、から構成されており、MCYUの活動は、2011年の発足以降年々活発になっている。たとえば、②の実施回数は年々増加し、2014-15年度の5回から、2017-18年度には105回を数えるまでになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は新型コロナウィルス感染予防の影響のために、国内においての文献・資料による情報収集と分析を行ったが、カナダでの現地調査が実施できていないため、研究に遅れがでている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、新型コロナウィルス感染予防策を注視し、またタイミングを見極めてカナダでの現地調査ができることを期待している。しかしながら、予断を許さない状況が生じることも念頭において、オンライン等による情報収集と分析を進める。
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Causes of Carryover |
2021年度は新型コロナウィルス感染症拡大のため、カナダに出向いて現地調査がまったく実施できなかったために、特に出張のための予算を使用することができず次年度の2022年度使用額が生じた。
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