2021 Fiscal Year Research-status Report
人文系分野等の特性に適合した文献成果の計量的分析基盤の構築
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21K02646
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
中渡瀬 秀一 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 特任研究員 (90599896)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分析基盤 / 研究分野 / 研究図書 / 研究評価 / 指標 / メトリクス / 人社系 / 学術 |
Outline of Annual Research Achievements |
学術研究における成果発表の形態は研究分野によって異なっている。そのため研究成果の分析もその形態を反映して行われる必要がある。本研究は、特に理工系分野とは異なる人文系分野等の発表形態特性に適合した成果分析を可能とする分析基盤の構築を目的としている。 この目的に沿って本年度は、まず本研究が対象とする人文系等の個別研究分野を明らかにするための調査研究を以下のように進めた。情報源として大規模学術情報データ(科学研究費助成事業の研究成果報告書)を利用し、全ての分野について研究成果に関するアウトプットの指標を分析した。研究分野については研究課題審査の区分(大/中/小区分)に準拠することで、階層的かつ粒度別の分野比較を行っている。調査の結果、以下の点が実証的に明らかとなった。 第一に、分野(大区分)での特徴として人文系や社会科学系(人社系)では全体的に研究成果の図書比率が理工系分野より高い点がある。この点は従来の経験的な指摘を計量的に裏付けるものである。 第二に、人社系等の下位分野であっても全てが同様の特性を持つわけではなく、この比率の水準や分布には差異が見られる点である。この点を踏まえて本調査結果から対象とする個別研究分野と基礎データ内容についての検討を行っている。なお調査結果は公表に備えて資料化した。 次に本基盤が対象とする研究分野は成果の図書比率が高く、それらを参照する雑誌記事の情報も容易に入手・分析できることが必要である。そのような分野を学術情報データや公開情報源を利用して探索的に調査するツール作成も進めている。このツールによって指定分野における成果の参照情報を効率的に収集可能であるかを検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度計画の中心は、研究分野ごとに整理された学術成果のデータを調査することで本研究の対象となる個別研究分野を特定することである。それに応じてこの基盤が収納するデータやその整備方法はデザインされる。本年度に実施した初期調査によって対象研究分野の範囲が絞り込まれた。さらに個別分野を特定するためには、分野の詳細情報を収集・分析する必要がある。そのためのツールを外部委託によって開発中であるが、この開発における仕様の策定と委託先の選定に遅延が発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、前年に引き続き分野成果の詳細情報をシステム的に収集する方法を検討し、そのためのツール開発を進める。次にこれを用いて収集するデータのカバレッジ等を考慮して対象研究分野の特定を行う。以上の検討結果を踏まえて、分析に適した情報源の構築のために基礎データの構造やその整備方法をデザインする。また成果のうちアナログ資料であるものを入手し、ディジタル化による利用が可能であるかの検証にも着手する予定である。加えてこれらの成果は学会発表や論文化によって逐次公表していく。
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Causes of Carryover |
(理由)研究分野別に詳細な成果情報を収集するためのツールを外部委託によって作成中であるが、その完成が期ずれすることによる。 (使用計画)繰越分は次年度分の助成金と合わせて委託費等に充当する。
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Remarks |
なし
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Research Products
(5 results)