2021 Fiscal Year Research-status Report
正課内外・キャンパス内外に拡張された大学教育の社会的レリバンスを探る探索的研究
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21K02654
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高澤 陽二郎 新潟大学, 教育・学生支援機構, 助教 (10794315)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラーニング・ブリッジング / 正課・準正課・正課外 / 大学生の成長理論 / 学生エンゲージメント / 大学生の学びと成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、研究実施計画に基づき、1点目として【調査分析①】大学生への半構造化インタビュー調査に関する分析を行った。大学生30名へのインタビュー調査の質的分析では、「教室での正課の学び」と「教室外で学生が関わった諸活動での経験」の意味づけについての学生の語りを整理し、米国の高等教育等で広く扱われている大学生の包括的な成長理論等と照合しながら、それらを「場面を越えた知識・スキル・態度の活用」「社会・他者との関わりを通じた学習者としての基盤強化」「将来のキャリアの見通しと現在の学習・諸活動との関連づけ」「多様な学習資源の意味づけと主体的な選択」の4つのカテゴリに分類して示した。当研究成果は大学教育学会誌第43巻第2号に掲載されている。学生が正課内外の学習・経験を自ら関連づけるラーニング・ブリッジングの具体的なあり方を、実際の学生の認識と既存の成長理論に関連づけて示したことは本研究の新規性である。更に同調査を基に、そうしたラーニング・ブリッジングを学生に促す学び・経験への関与のあり方(学生エンゲージメント)についても分析を行い、その成果については論文として執筆中である。 また上記①の研究成果を基に、大学時代の経験への関与の仕方を問う新たな尺度項目を作成し、調査分析②において大学4年生(WEBモニター)への予備調査を実施した。同調査において作成尺度の信頼性・妥当性の検証を行い、それを踏まえて調査項目を確定した。調査分析③では、そうした大学時代の経験と社会人としての思考行動特性との関係を問う質問紙調査を、入社3~4年目の若手社会人(WEBモニター)を対象に行い、850名の有効回答を得た。現在、統計的手法により、同調査の回答結果の分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、令和3年度の研究計画として予定していた大学生インタビュー調査の分析と研究成果の発表、それを踏まえた社会人アンケート調査のための尺度項目作成、予備調査~本調査の実施などが、おおむね計画通りに進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、計画に沿って研究を進める。具体的には、令和4年度は、既に実施した調査の結果を基にした以下の分析の遂行・執筆を進め、論文掲載を目指す。 ・大学生インタビュー調査からの2つ目の分析(ラーニング・ブリッジングを学生に促す学び・経験への関与のあり方(学生エンゲージメント)についての質的分析) ・入社3~4年目の若手社会人(WEBモニター)を対象に行った質問紙調査(850名の有効回答)の統計的分析
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Causes of Carryover |
コロナ禍における、調査研究旅費の未使用(オンラインでの対応)の状況が続いたことから、使用額に若干の残額が生じた。今後については、昨今の社会状況から対面での実施が復活しつつある学会等での調査研究旅費に加え、バージョンの古さから必要な分析に対応できず急遽更新が必要になった統計ソフトの購入費、研究成果発信のための費用等に予算を使用し、確実な研究の進展と成果公開を進めていく。
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Research Products
(1 results)