2021 Fiscal Year Research-status Report
大学入試における日本語・英語運用能力の統合的な測定・評価法に関する基礎的研究
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21K02657
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大澤 公一 京都大学, 高大接続・入試センター, 特定准教授 (20555320)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高等教育 / 教育心理学 / 言語運用能力 / CEFR / テスト理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語(母語)能力と英語(外国語)能力を統合的に測定・評価するための技術的方法を,現代テスト理論(項目反応理論,テスト等化法)に基づいて開発することが本研究の目的である。下位研究(1)CEFRに基づく言語運用能力の自己評定尺度の拡充については,京都大学の新入学者を対象としたアンケート調査を継続的に行っている。これまでの累積サンプルサイズはN=9,495となった。累積データを項目反応理論の一般化部分得点モデルにより尺度化し,基準集団に対して等化を行い,尺度項目のパラメタを更新した。また,欠測データ行列に対する探索的因子分析を適用し,言語運用能力モデルの潜在構造が,CEFRで想定されているものと同様になるのか,あるいは日本に固有の特徴(CRLの逆転など)を備えた構造となるのかについて,数理統計学あるいはテスト理論に基づく検討を開始した。下位研究(2)CEFRに基づく言語運用能力の自己効力感と既存のテスト得点との対応関係については,アンケート調査への協力者のうちで,大学入学共通テストおよび個別学力検査の英語科目の得点の研究目的での使用について同意を得られたものについて,CEFRに基づく言語運用能力の自己評価と客観的なテスト得点との間の相関関係の分析を開始した。下位研究(3)日本語論述データのCEFR基準に基づく尺度化については,CEFR補遺版の言語運用能力の尺度項目に基づいた生産的言語データの評価・採点基準の試作を開始した。下位研究(4)新しい言語運用能力課題の開発については,国内外の言語能力に関する大学入試問題(主として小論文,面接試験)を参考として,項目データベースの作成に取り掛かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため,研究協力者をリクルートして行う研究の実施が困難であったが,今年度は既存のデータの再分析や文献研究を中心に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の研究計画に基づき,下位研究ごとに研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
高性能スキャナを使用する段階に至らなかったため,物品費の支出が減少した。来年度以降の必要かつ適切な時期に購入する予定である。また言語データの実採点に至らなかったため,採点パネルへの謝金が発生しなかった。この謝金は来年度以降に使用予定である。
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