2021 Fiscal Year Research-status Report
英語の基礎学力を担保する総合試験の研究―大学入学者選抜改革を目的として
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21K02658
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 健三 神戸大学, アドミッションセンター, 入学試験コーディネーター (20790728)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 総合型選抜 / テストの妥当性・信頼性 / 基礎学力の担保 / 早期受験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、神戸大学が入試改革の一環として開発・実施している「志」特別選抜の一部である英語力評価を主とした総合試験に関して、妥当性、信頼性、基礎学力の担保や早期受験への配慮の適切さを検証するとともに、それらの分析や考察を通して他大学における入学者選抜試験の出題検討にも資することをねらいとしている。本研究における「総合試験」とは、個々の総合問題Ⅱ(文系型)、総合問題Ⅰ(理系型)の総称である。試験のねらいは、英語の読解を通して思考力・判断力・表現力を測ること、様々な情報を統合し構造化しながら英語や日本語で思考・判断し、そのプロセスや結果について自らの言葉で表現する能力を測ることである。本研究では総合試験に近似したサンプル問題A(文系型)およびB(理系型)を作成し、同時に基礎学力の担保や早期受験への配慮の適切さに関するアンケート調査を実施する。 当該年度の研究においては、研究協力者に自主的に応募した神戸大学1年生97名にサンプル問題AおよびBを解答させ、同時にアンケート調査に回答させた。総合試験の得点と大学入学共通テストの得点(研究協力者の了解のもと自己申告により入手)をデータとして、収束的証拠と弁別的証拠を調べ、構成概念妥当性が高いことを確認した。また、クロンバックのα係数を算出し、テストの信頼性が高い数値を得た。アンケート調査からは、基礎学力の担保や早期実施に対する配慮に関して肯定的な回答が得られた。 新型コロナウイルス感染症の拡大の状況を鑑み、実施方法を変更した。科研費申請時においては、試験およびアンケート調査は試験会場において一斉に行う計画であったが、試験問題、答案用紙は郵送により送付・回収し、アンケート調査は郵送により送付し、回答はメールを用いて入手した。試験の解答、アンケート調査の回答は、研究協力者の学修への支障がないよう配慮して複数の日程を設定し、研究協力者に選択させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
総合試験の得点や大学入学共通テストの得点、およびアンケート調査の回答を統計的に分析し、テストの妥当性、信頼性、基礎学力の担保や早期受験への配慮の適切さを検証することができた。他方、新型コロナウイルス感染症の拡大の状況を考慮して、研究の実施方法の変更を余儀なくされた。科研費申請時においては、総合試験およびアンケート調査は試験会場において一斉に行う計画であったが、郵送やメールを用いてデータを入手する方法に変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度においても新型コロナウイルス感染症の拡大の状況は予測できず懸念されるため、研究の実施方法は2021年度の内容に基づき2022年度においても同様に実施し、2年度分の結果を比較し、総合試験の妥当性、信頼性、基礎学力の担保や早期受験への配慮の適切さを検証する。2年度分のデータを用いることによって、検証の精度を高めることをねらいとする。また、他大学における入学者選抜試験の出題検討にも資するため、大学入試センター主催による全国大学入学者選抜研究連絡協議会において研究成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
研究協力者数が想定よりも少なかったことと、新型コロナウイルス感染症の拡大の状況を考慮して、総合試験やアンケート調査の実施方法を試験会場での一斉実施から郵送やメールによる方法に変更したことにより、研究協力者の都合に合わせて柔軟に実施できるよう設計したため、休憩時間を設けず各自の所要時間が短縮されたことにより人件費・謝金が減額となった。また、全国大学入学者選抜研究連絡協議会大会など入学選抜に関連する研究会がZOOMによる開催に変更となったため、旅費が予定よりも減額となった。次年度は、対面で開催される研究会に参加したり、今年度課題となった因子分析について指導助言を仰ぐため外部へ出張する旅費、および答案の採点をより効率的に実施するために用いるiPadの購入に充当する予定。
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Research Products
(1 results)