2021 Fiscal Year Research-status Report
Practical Development of a Formative Assessment System for College and University Online Classes Based On ICE Rubrics
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21K02672
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Research Institution | Kyoto College of Graduate Studies for Informatics |
Principal Investigator |
青木 成一郎 京都情報大学院大学, その他の研究科, 准教授 (80596255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土持 ゲーリー・法一 京都情報大学院大学, その他の研究科, 教授 (00422064)
小林 信三 特定非営利活動法人サイバー・キャンパス・コンソーシアムTIES(附置研究所), 附置研究所, 客員研究員 (70793842)
小林 祐也 京都情報大学院大学, その他の研究科, 助教 (90818220)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高等教育 / Diamond Mandala Matrix / テキスト分析 / 形成的アセスメント / 反転授業 / オンライン授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
「研究目的」は,学生の主体的学びへつなげるためにICEルーブリックを用いた形成的アセスメントに基づく授業設計とシラバス構成から各授業での学生によるeポートフォリオ(ICEポートフォリオ)作成へ至るオンライン授業実施のための一連の仕組みを,LMSに依存しない独自ツールでの実践的研究により開発することとした。そのための「研究実施計画」では,(a)ICEルーブリック及びICEポートフォリオ開発,(b)ツール開発、実証実験及び実証実験データ分析,(c)形成的アセスメントに基づく評価,に分けて実施することとしている。 (a)は,ICEルーブリック作成に先立つI,C,Eに対応する語彙選定ガイドライン策定のため,digital Diamond Mandala Matrix (dDMM)を用いた京都情報大学院大学の講義型授業で得たdDMMのデータを分析した(日本天文学会2021年秋季年会,青木ら2021:情報処理学会情報教育シンポジウムSSS 2021,大学教育学会第43回大会での発表,及び青木ら2021:情報教育シンポジウム論文集)。ガイドライン一般化のため,語彙精度がより高いと想定される,受講生のほぼ全員が日本人の授業も分析対象に加え,dDMMを用いた授業を実施して得たデータを分析継続中である。 (b)のツール開発は,ICEルーブリックやICEポートフォリオを想定してシステムを一新し,インフォグラフィックのための画像登録が可能となった(小林ら2021:情報処理学会情報教育シンポジウムSSS 2021,及び小林ら2021:情報教育シンポジウム論文集)。また,dDMMのデータの簡易的テキスト分析機能を追加した。実証実験及び実証実験データ分析は(a)と(c)での説明のとおりである。 (c)は,反転授業による専門知識の構造化を踏まえ,形成的アセスメントの観点で設計した授業を通して実践と分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実施計画」にある(a)ICEルーブリック及びICEポートフォリオ開発,(b)ツール開発、実証実験及び実証実験データ分析,(c)形成的アセスメントに基づく評価,の3つの現在までの進捗状況について,それぞれ示す。 (a)については,ICEルーブリック作成に先立つI,C,Eにそれぞれ対応する語彙選定ガイドライン策定において,京都情報大学院大学の講義型授業をdigital Diamond Mandala Matrix (dDMM)を用いて実施し,dDMMへ入力された語彙を分析した。しかし,当該講義の受講生は留学生が多く,日本語の語彙選定のガイドラインのより精度の高い一般化を目指すには,より高い精度のデータを用いる必要性が判明した。そこで,日本語の語彙の精度がより高いと想定される,受講生がほぼ全員日本人の他大学での授業でdDMMを用いて実施し,受講生が入力したdDMMのデータも対象として実証実験及び分析中である。(b)のツール開発で追加したグループワーク機能も含めて現在,実証実験中である。 (b)のツール開発については,ICEルーブリックやICEポートフォリオを想定して現有のシステムを一新し,インフォグラフィックのための画像を利用者が登録できるようになった。また,dDMMへ登録されたデータを簡易的にテキスト分析する機能を追加している。さらに,グループワークを効果的に行うために,dDMMのデータに基づくグループ作成の機能も追加した。これらの機能の実証実験を現在進めている。実証実験及び実証実験データ分析の進捗状況については, (a)及び(c)で述べたとおりである。 (c)については,反転授業における専門知識構造化の観点を踏まえ,形成的アセスメントの観点から授業設計を行い,その設計に基づき記述したシラバスにより, dDMMを用いて授業で実証実験及びデータ分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実施計画」にある(a)ICEルーブリック及びICEポートフォリオ開発,(b)ツール開発、実証実験及び実証実験データ分析,(c)形成的アセスメントに基づく評価,の3つの今後の研究の推進方策についてそれぞれ説明する。 (a)では,京都情報大学院大学及び他大学でのdigital Diamond Mandala Matrix(dDMM)を用いた授業で得るデータをテキスト分析などの方法を用いて分析し,シラバスの記述を踏まえて,ICEモデルにおけるI(idea),C(connections), E(Extensions)それぞれに対応する語彙を選定するためのガイドラインを策定する。このガイドラインに基づき,形成的アセスメントの観点での授業設計を踏まえてICEルーブリックを作成し, ICEポートフォリオを提出物として課してシラバスへ組み込む。このシラバスに基づく授業で受講生が入力したdDMMデータや受講生の提出物を対象として分析してガイドラインを修正し,授業構成を見直して次学期のシラバスへ反映する。この実証実験・分析と改善を繰り返す。 (b)のツール開発では,学生の主体的学びへつなげるために視野を広げる点でグループワークは重要であることから,dDMMへ受講生が入力したデータに基づきグループを構成する機能を今年度追加しており,授業での実証実験を通してこの機能を改善する。また,(a)で述べたICEルーブリック及びICEポートフォリオを踏まえた総合的学修システムのツールとしてdDMMのシステムを授業へ組み込む方法を検討する。実証実験及び実証実験データ分析は,(a)での説明のとおりである。 (c) では,(a)及び(b)と全期間を通して連携しながら,形成的アセスメントに基づき授業を構成し,授業での実証実験を通して,ICEルーブリック,シラバス,ICEポートフォリオ,ツールなどの改善へつなげる。
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Causes of Carryover |
ICEルーブリック及びポートフォリオ開発に先立つICEルーブリックガイドライン策定のための分析対象データとして,京都情報大学院大学の講義型授業においてdigital Diamond Mandala Matrix(dDMM)へ受講生が入力したデータを用いたが,当初想定していたほどの日本語の精度が得られなかった。より精度が高い語彙データに基づくガイドライン策定のため,当初予定していなかったが,受講生のほぼ全員が日本人である他大学での授業で得たdDMMデータも分析対象に含め,分析することにした。ガイドライン策定とそれに続くICEルーブリック及びポートフォリオ開発で汎用性を高めるためには,これは必須の措置である。そのために研究成果発表の時期が後ろへずれ込んだ。実施途上にある授業で得ている現段階のデータの質などの状況を踏まえると,授業が完了した段階で十分な精度のデータが得られると想定される。そのため,その後のデータ分析とガイドライン策定はスムーズに進捗すると考えており,計画に大幅な変更は必要ない。よって次年度は,これらの分析により得られると想定される研究成果を,今年度に見込んでいたものも含め,精力的に研究会や学会で発表し,論文を出版する予定である。以上が,次年度使用額が生じた理由である。従って,今年度分担金のうち,次年度使用額が生じた各内訳の金額は,来年度の内訳へそれぞれ合算して使用する。
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