2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of career passports from the viewpoint of visualization and dialogue in education for intellectual disabilities
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21K02678
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
菊地 一文 弘前大学, 教育学部, 教授 (80509141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉中 拓央 小田原短期大学, 保育学科, 専任講師 (70755917)
藤川 雅人 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90845538)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キャリア・パスポート / 知的障害教育 / キャリア発達 / 個別の教育支援計画 / 本人参画 / 対話 / 目標設定 / 振り返り |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、主に以下の3点について取組を進めた。 1点目は実践情報の収集と研究知見をまとめた書籍の刊行である。研究協力校3校をはじめとする実践情報等の収集を行うと共に、これまで得た研究知見と合わせて解説した書籍「知的障害教育における『学びをつなぐ』キャリアデザイン」を刊行した。本書籍は本研究のテーマと関連する新学習指導要領で示されたキーワード等の解説のほか、個別の諸計画の在り方やキャリアデザイン、キャリア・パスポート等の考え方を整理すると共に、全国特別支援学校知的障害教育校長会(以下、全知長)との連携により、全国の実践事例を収集し解説したものである。なお、本研究開始前から取り組んできた研究知見についても日本特殊教育学会第59回大会のポスター発表において発信した。 2点目は、質問紙調査の作成である。知的障害特別支援支援学校におけるキャリア・パスポートの現状と課題を把握する質問紙調査を作成し、2回のユーザーテストを基に完成させた。学校現場の多様な児童生徒の実態や教育課程の現状を、回答にかかる所要時間、アクセシビリティや今後のデータの分析方法等を考慮し、妥当性向上を図った。また、新型コロナウイルス感染症の第6派による学校現場の状況を考慮し、予定していた時期の実施を控え、次年度に学校が比較的落ち着く時期に発出予定である。なお、本状況を踏まえ、再度全知長に協力要請し、回収率の向上を図っていく。 3点目は研究体制の構築である。コロナ禍であるため、研究協力校を訪問しての活動等に制約が生じたため、オンラインにより授業実践を共有したり、研究協議を行ったりするための体制を整え、随時情報共有が図られるようにした。併せて、調査研究及び実践研究の妥当性向上と詳細な分析を進めていくことを考慮し、新たに研究分担者1名を加え、研究分担を明確にすると共に研究体制を強化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述したようにコロナ禍における学校現場の状況や調査項目の妥当性向上のための複数のユーザーテストにより、質問紙調査の発出が予定より遅れたことや、学校における教育活動の制約及び訪問調査等の実施に困難が生じたため。研究全体の進捗は当初の予定よりも若干遅れている状況にある。しかしながら、コロナ禍による影響は、ある程度予想されたものであり、質問紙調査の発出及び分析実施の準備や次年度の研究の中心となる実践研究の構想は整っているため、大きな遅れには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度作成した質問紙調査の発出、集計、分析を踏まえ、速報として公開すると共に、その成果を論文としてまとめ、当該分野における研究知見として役立てられるようにする。なお、分析の視点としてキャリア教育の推進状況や学部や学科による相違など複数の視点を踏まえて考察する。また、キャリア教育の推進状況については、研究代表者の過去の調査研究と比較検討し、学校現場での推進及び充実が図られるよう迅速に還元していく。 加えて、研究協力校3校における実践研究として複数の事例を取り上げ、知的障害のある生徒との対話場面の分析と評価を行う。具体的には産業現場等における実習などの前後における生徒の省察を踏まえ、PAC分析により定量的にクラスター化し、それを基にした対話をとおして定性的に分析していく。さらに現時点で協力が得られる特別支援学校を新たに確保しており、事例データの充実を図っていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、研究協力校での調査や研究協議会等に関する対面実施が困難となったことから、円滑な研究実施のために、オンライン中継をするための機器の購入に充て対応したが、主に旅費の執行残が生じた。また、調査研究については、対象である学校現場の負担を考慮し、Web調査に変更したことにより、執行残が生じた。繰越額については、次年度に実践研究の分析にかかる費用や対研究協力校での調査や研究協議会等に関する旅費等に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)