2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a screening system for reading that connects to personalized learning for early childhood.
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21K02695
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Research Institution | Osaka Chiyoda Junior College |
Principal Investigator |
宮本 直美 大阪千代田短期大学, 幼児教育科, 准教授 (90831529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今枝 史雄 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70824118)
澤 ひとみ 関西女子短期大学, その他部局等, 准教授 (80831528)
大内田 裕 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80510578)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幼児 / 読み / 個別最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、幼稚園等における幼児の「読み」の実態把握及び保育者の「読み」の困難に対する実態把握の調査を基に、幼稚園等の現場で活用することのできる「読み」の簡易スクリーニングキットを開発し、有効性の検証を行い、教育委員会と連携した幼児に対する個別最適化した学びにつなげるための「読み」のスクリーニングシステムを構築することを目的とする。 コロナ禍の影響により、予定していた協力園に園外部の研究者が調査に訪れることは困難な状況となったため、幼児の文字や読みに関する実態調査については保育者の協力を得て行った。保育者からの報告からは、幼児の文字や読みに対する興味や関心は高く、ほぼすべての幼児は文字や読みに関する活動に積極的に取り組むことが分かった。保育者が幼児の実態を把握できるのは園での活動に限られ、また担任している期間の限られた実態把握となることから、情報を補うため、保護者からも、文字や読みに対する興味や関心等の情報を補助的に収集する必要性があることが確認された。 保育者からの幼児の文字や読みに関する活動の報告と先行研究から得られた知見から、ひらがなの習得課題と読みに関わるとされる認知機能を測定する課題について検討した。ひらがな習得課題はひらがな清濁音71文字と特殊音節(拗音、長音、促音、拗長音)からなる課題を設定した。ひらがなの読みに関わる認知機能とされている、音韻意識(phonological awareness)、視覚認知、自動化に着目し、各々について課題を作成した。協力園の年長児クラスに在籍する幼児23名を対象にして、作成した課題を実施した。現在、分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、協力園の年長児クラスにおいて、文字や読みに関する活動場面での観察を行い、文字に関する活動を行った時の文字への興味や関心や文字の習得度合等について実態把握をする予定であった。コロナ禍の終息は不透明であったことから、研究者が持続して協力園を調査のために訪れることは困難で、幼児の実態調査を十分に行うことができないことが予測された。このため、幼児の文字や読みに関する実態調査については保育者の協力を得ることにした。 協力園の年長児クラス(一クラス)の担任保育者に、文字や読みに関する活動時間の設定と、その際の幼児の行動についての観察を依頼した。依頼できた園は一園であった。幼児の文字や読みに関する活動について、一クラスではあったが、保育者が把握した実態についての情報を収集することができた。しかし、一クラスでの実態把握であることから、幼児の「読み」に関する実態については十分につかめていない。 保育者による幼児の実態についての報告と先行研究から、ひらがなの習得課題と認知機能を測定する課題を作成し、協力園の年長児クラスに在籍する幼児を対象として課題を実施した。現在、分析を進めている。 幼児の実態把握が十分でないことから、やや遅れていると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き、協力園の年長児クラスの担任保育者の協力を得て、文字や読みに関する活動場面での観察を行い、幼児の文字や読みに対する興味や関心、文字の習得度合等について実態の把握を行い、簡易キット課題作成のための基礎的な資料を得る。また、幼児の文字や読みに対する興味や関心等の情報を補強するため、保護者に対する質問紙を作成し、質問紙調査を実施する予定である。 幼児の文字や読みの状態を把握するための調査課題については、分析を進めるとともに、今年度は対象者を増やして実施する予定である。 幼児に対するフィールド調査は引き続き困難な状況が続くことが予想されるため、協力園との連携を図りながら、機を見て即座に調査を行うことができるように準備を整えておく。また、今後も引き続きフィールド調査には困難が伴うことが予測されることから、質問紙調査等の併用について検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会や研究会等は感染防止対策により、WEB上での開催となったことから、旅費が減額された。また、フィールド調査の対象施設である協力園の担当者との打ち合わせや協力園での継続した幼児の観察が実施できなかったことも挙げられる。これに対して、次年度の予定であった検査課題の作成に今年度から着手したことにより、物品費が増額された。 これらに伴い、物品費が増加した一方、人件費や謝金、旅費等が抑制されたことが原因である。 次年度はコロナの感染状況にもよるが、学会や研究会等に参加し、研究発表や情報の収集を行う。また、協力園の研究協力体制の状況に応じてではあるが、協力園の担当者との打ち合わせ回数を増やし、幼児の観察や予備検査も実施していきたい。そのために、観察や検査課題実施のための機材等の準備を整えておく。
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