2022 Fiscal Year Research-status Report
感覚異常の特性を有する発達障害傾向のある幼児に対する支援プログラムの開発
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21K02698
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水野 智美 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90330696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 克己 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30197868)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感覚異常 / 発達障害傾向 / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)感覚異常の特性がある発達障害傾向のある成人に対するヒアリング調査 感覚異常の特性がある発達障害傾向のある成人にヒアリング調査を行い、幼少期に、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚のそれぞれについて、敏感すぎたり鈍感すぎたりしたことによって幼児期や小学校低学年の頃に不快感や違和感、困ったこと等がなかったか、また、感覚異常について周囲の理解がなかったために辛いと感じたことはなかったか等を明らかにした。本調査によって、定型発達の人にとって特に気にならない刺激に発達障害傾向のある子どもは困り感を持っていたこと、幼少期には何の刺激が不快であるのかが自分自身でもわからずに大人に説明できなかったケースがあることを確認した。また、これらの感覚異常を保護者や保育者、教師に理解してもらえず、叱責されたり、やる気がないせいだと言われたりしてつらい思いをしていた経験を持つ人6割以上いることも明らかになった。 2)感覚異常の特性がある発達障害傾向のある幼児に対する観察、保護者、保育者へのヒアリング調査 保育所、幼稚園、認定こども園に通っている幼児で、発達障害傾向がある子どもを観察し、保育上で問題行動を示す背景に感覚異常が関係していると思われるケースについて、保護者、保育者からのヒアリング調査を日常生活での本人の困り感等を詳細に明らかにした。子どもが抱える様々な困り感とその時々の状況との関係性から、一つひとつの困り感の背景に感覚異常が関係していないか、関係している場合にはどのような対応が効果的であるのか、その子どもに対して実行可能であるのかについて、保護者、保育者と話し合い、対応策を検討した。このようにオーダーメイドで作成した対応策を個々の子どもに実施し、その効果を測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発達障害傾向があり、感覚異常を背景として日常生活に困り感を抱える子どもで、保護者、保育者からの調査協力の同意を得られるケースを探すことに時間を要した。特に、保護者に依頼する場合に、ある程度、障害受容が進んでいるケースである必要があったことから、ヒアリング調査がなかなか進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、保護者、保育者から調査協力を得られた子どもに対して観察をして、感覚異常に起因している困り感を明らかにし、その対策を保育者、保護者等を交えて検討した上で、その効果を測定している。これまでに調査協力を得られる目途がたったため、今後、その子ども、保護者、保育者に対して調査を進めていく予定である。また、この結果がまとまったところで、効果のある対応方法をまとめ、研修プログラムを作成していく予定である。
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Causes of Carryover |
調査協力者の確保に時間を要したため、観察、ヒアリング調査等が計画通りに進まなかった。すでに研究の協力は得られ、研究を進めるための目途はたったため、子どもの観察、保護者、保育者へのヒアリング調査を積極的に進めていきたい。
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