2021 Fiscal Year Research-status Report
発達障害リスク児の幼児期からの発達軌跡に関するコホート研究
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21K02701
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
神尾 陽子 お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 客員教授 (00252445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 ますみ 白百合女子大学, 人間総合学部, 教授 (20211302)
齊藤 彩 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (30794416)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発達障害 / 発達支援 / メンタルへルス / 育児 / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】倫理委員会に承認された手続きで、研究協力者を所沢市こども支援センター利用者からリクルートし、説明と同意取得を経て、電子アンケート「タッチミー」回答をしてもらった。当該事業所(マーガレット、以下マ)の新規来所者(2歳から6歳までの未就学児とその養育者が対象)。年度末の時点での回答完了者数は1回目56名、2回目36名、3回目18名、4回目1名であった。今年度2回目の回答をした発達支援部門利用者31名の現時点での状況については、継続的に通所支援を利用しているのは39%、医療機関を受診したことがあるのは(45%)であった。対象の大部分は発達検査を受けさせているが、医療機関受診および通所支援利用は半数に満たないことがわかった。今後、子どもの要因(性、年齢、気質、メンタルヘルス)と養育者の要因(社会経済的状態、家族関係、養育機能、メンタルヘルス、育児ストレス、育児のサポート状況)、そして親子関係に関する要因(アタッチメント)がどのように相互作用して子どもの包括的な転帰に影響しうるのか、分析を行い、明らかにする予定である。さらに発達障害児の愛着の発達について、地域ベースの実証研究はほとんどないので、使用可能な日本語版親子の関係性の問題尺度を作成(翻訳・逆翻訳)を行った。この尺度を用いたサブサンプルでの研究の準備を行った。 【意義】本研究は自治体(埼玉県所沢市)、大学(お茶の水女子大学)、研究機関(国立精神・神経医療研究センターが連携して、公的な支援サービスを受けている子どもと家族を対象に行う地域ベースの子どもの包括的な発達とメンタルへルス、親の育児に関する縦断研究で、かつ社会実装の効果を検証する新しい試みである。さらに、発達障害と愛着の問題について実証的データに基づく概念整理を行うことは、発達支援の臨床現場に大きな示唆がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
支援センターでのリクルートにかかる手順が煩雑であったことが理由の一つと考えられ、倫理的配慮を損なわず、手順の円滑化の工夫を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は自治体と研究者の連携で行っており、市民の発達障害、発達支援への理解を深めてもらうこともねらいの一つである。本年度は動画作成し、わかりやすく研究のねらいを視聴していただけるように工夫した。発達障害の支援者、養育者に関心が高いが、実証的データのなかった愛着(アタッチメント)についてもカバーできるよう、日本版質問紙を作成し、令和4年度、予備研究を計画している。
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Causes of Carryover |
コロナ感染防止の観点から出席予定であった学会参加をオンライン参加に切り替えたり、会議をオンラインに切り替えたことによって、出張交通費が余ったため。
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