2022 Fiscal Year Research-status Report
発達障害リスク児の幼児期からの発達軌跡に関するコホート研究
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21K02701
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
神尾 陽子 お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 客員教授 (00252445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 ますみ 白百合女子大学, 人間総合学部, 教授 (20211302)
齊藤 彩 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (30794416)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発達障害 / 発達支援 / メンタルへルス / 育児 / アタッチメント / 縦断研究 / 横断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域ベースの子どもの包括的な発達とメンタルへルス、親の育児に関する縦断研究である。自治体(埼玉県所沢市)、大学(お茶の水女子大学)、研究機関(国立精神・神経医療研究センターが連携して、社会実装の効果を検証する新しい試みである。対象は、地域の公的な発達支援サービスを受けている発達になんらかの問題のある子ども(2歳から6歳までの未就学児)とその保護者で、保護者が年に一度の電子アンケート(所沢子どもの心の健康調査:TOUCH ME “タッチミー”)を回答する。子どもの要因(性、年齢、気質、情緒や行為の問題、不注意や多動、対人コミュニケーション)、養育者の要因(社会経済的状態、家族関係、養育機能、メンタルヘルス、対人コミュニケーション、育児ストレス、育児のサポート状況)、そして親子関係に関する要因(アタッチメント)がどのように相互作用して子どものその後に影響するのかを明らかにすることがねらいである。本年度は欠損値のない50家庭のデータを分析した。子ども(2-6歳)の自閉的特性は、情緒、行為、多動性/不注意、仲間関係の問題と相関を示した。保護者が抱く育児ストレスは、子どもの自閉的特性とADHD特性のいずれにも関連し、それは子どもの年齢、性や、保護者自身の自閉的特性、さらにソーシャルサポート、共同養育を考慮に入れた分析結果でも有意であった。これより、発達支援においては、発達的な問題だけでなく、子どもの情緒や行動へのケアおよび養育にあたる保護者への支援を含む包括的なものでなくてはならないことが示唆された。また本年度は、アタッチメントの問題が一般児童でどのような分布をするのか、そしてASD特性から区別されうるのか、を実証的に明らかにするために、昨年度に作成した親子の関係性の問題尺度を用いて、男女各2,400名の5-8歳児を養育する保護者を対象としたウェブ調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため、リクルートに想定外の困難が生じたが、動画作成するなど工夫することで同意率を高めることができ、順調にデータ収集を終了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、地域コホートを対象としたタッチミー調査のデータを解析して、学術的には子どもの要因、養育者の要因、そして親子関係に関する要因がどのように相互作用して子どものその後に影響するのかを明らかにする。またその結果に基づいて、発達支援のあり方への提案をする予定である。さらに発達障害の支援者、保護者を対象に発達支援の意義について共通理解に役立つ情報公開を行う。アタッチメントとASD特性に関するウェブ調査のデータ解析はほぼ終了しており、論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、合同会議の開催回数を少なく抑えていたため、次年度は集中的に会議を行うことを予定しており、そのための会議費に充てる予定である。
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