2022 Fiscal Year Research-status Report
発達症児のメタ認知を育む適応的な学習支援ツールの開発とその評価
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21K02706
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
堀田 千絵 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 准教授 (00548117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 久恵 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (00314518)
十一 元三 京都大学, 医学研究科, 教授 (50303764)
吉岡 尚孝 関西福祉科学大学, 教育学部, 講師 (60885309)
八田 武志 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (80030469)
津田 恭充 関西福祉科学大学, 心理科学部, 准教授 (80635665)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メタ認知育成 / 検索学習 / 社会生活機能 / 認知発達 / ヨークト法 / 幼児児童 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学習力を支える高次認知機能としてのメタ認知の早期育成が定型発達児のみならず発達症児の予後の生活適応に多大な影響を与えることに鑑み、発達症児のメタ認知活性化を育む適応的な学習支援ツールの開発とその評価にある。具体的には次の2点を目的とし、それぞれの目的に対応させて現状の研究結果を得た。①これまで申請者が導き出したメタ認知活性化を促すことに有効な「検索学習法」を発達症児の認知発達や社会生活適応の個人差に対応できる適応的な学習支援法として新たに開発することにある。②発達症児(幼児期)が小学生(児童期)に成長する個々の縦断的なデータ収集に基づき、①の適切性を吟味した評価を行うことにある。データの収集方法は、①認知発達と社会生活機能の個人差を加味した釣り合い法(yoked-method:以下ヨークト法(群))に基づく②縦断的研究による量的分析、保護者、保育者、教員の①②における般化効果としての意識変化の調査、実験、面接による質的分析等であった。これらの資料を総合し、定型発達児のみならず、従来十分に配慮されていない発達症児に有効な幼保小の接続を意識した学習支援ツールを開発することにあった。本年度の実績として、①においては、メタ認知活性化に直接有効な検索学習法の有効性の確認を追試として実施し検証できた。また、当該幼児の認知発達及び社会生活適応のヨークト法による活用において、保育者が当該幼児の社会生活における観察眼を養う必要性があるとともに、認知発達の中でも言葉の領域における焦点化がヨークト法の活用に有効性がある可能性が見いだせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研におけるオリジナリティの1つである当該幼児の認知発達及び社会生活適応のヨークト法による活用において、保育者が当該幼児の社会生活における観察眼を養う必要性があるとともに、認知発達の中でも言葉の領域における焦点化がヨークト法の活用に有効性があることを見出した。これらの結果は、支援者を対象とした調査においても明確になっており、次年度に向けて現在観察記録の分析に沿った検索学習の導入に有効な学習課題の在り方を吟味している段階にある。支援者側の観察の視点の育成がヨークト法の設定に重要な役割を示すことにもなるため、随時協力園の保育者への研修を通じたメタ認知にかかわる理解の普及を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定にある、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、知的発達に遅れのある発達症児の個人差にも対応した検索学習支援の土台を作成することに加え、また対象参加児数を増やし、診断と並行した各種発達・知能検査による言語・非言語機能のプロフィールが酷似する定型発達児と発達症児をペアにした4ヨークト群を設定する。社会生活機能については事後的に各4ヨークト群の平均から高低別に分けることで、観察実験を実施しながら、障害特性に加え個人差を統制した形でメタ認知活性化に寄与する学習支援法を作成することができることを期待する。第2に、4ヨークト群ごとに検索学習の3規定因を支援過程に組み込む。3規定因の導入方法の支援デザインは申請者らの研究(Naito, Hotta他, 2020; Hotta他, 2007)、文献レビュー(堀田他,2020;掲載決定済)で計画済であり、仮説に基づきつつ探索的な検討を含めた支援デザインの評価と修正を行うこととしている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍における実験実施の遅延と現場園での活動の時間制限から、物品のみならず、そのための打ち合わせ、会議、子どもの観察場面のための訪問を頻回に設定する必要があったこと等によるものである。
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Research Products
(2 results)