2023 Fiscal Year Research-status Report
通常教育と知的障害教育の学びの連続性を実現する教科横断型キャリア教育モデルの追究
Project/Area Number |
21K02714
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
本間 貴子 国士舘大学, 文学部, 准教授 (30845508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 宏樹 筑波大学, 人間系, 教授 (50292462)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 知的障害教育カリキュラム / 職業教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
知的障害教育における、職業職業教育の独自性を明らかにするために、歴史的に知的障害者に対する職業教育が広まった1930-50年代の職業教育について分析を行った。研究対象は、ニューヨーク市の職業ハイスクールであり、教育委員会の発行する報告書、資料を分析した。研究成果を、国際教育史学会(ISCHE:International Standing Conference for the History of Education)で発表した。 1930-50年代のニューヨーク市ハイスクール改革―職業教育の充実化―において、軽度知的障害児(Children with mild Intellectual disabilities)が職業ハイスクール(Vocational High Schools)に受け入れられていた。当時ニューヨーク市公立学校ハイスクールでは、就職できずに学校に残る生徒が増加し、校内は過密状態あった。教育委員会は、「カリキュラムのコンセプトと学習の手続きは、不適応のサインを示す子どもも含めたすべての子どものニーズに合わせて発達させられるべきである」と考え、学業修得が困難な生徒に対し、単にアカデミックな教科の習得を目指すのではなく、職業教育を提供することを目指した。 職業ハイスクールでは、産業に合わせた実用的な技術スキルだけではなく、シチズンシップ教育、働くために必要な態度や社会性が教えられていた。将来の生活のための経験的な教育活動による学習の過程は、知的障害教育と類似していた。他方で、職業ハイスクールでは、軽度知的障害児の教育に対し課題も指摘された。①ドロップアウト:ジュニアハイスクールをきちんと卒業していない生徒、知能指数が低い生徒がドロップアウトする傾向にあることが指摘された。②教師が“Slow-learner”に対応できるような指導法を知らず、教材が用意されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、日本の現在の学習指導要領における、中学「技術・家庭」と知的障害教科「職業・家庭」の比較研究や、アメリカで重度知的障害教育のカリキュラムが形成された時期の知的障害教育の特性、知的障害者と健常者の職業教育に関連する共通点と相違点について明らかにしてきた。これらの研究成果を資料を分析整理し、まとめ、国際学会、国際誌、国内学会等で発表をしている。今後の研究を推進するための研究資料についても、ほぼ収集済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集した資料をもとに、主に次の課題に取り組む。①1940年代に通常教育において職業教育を強化した時代には、目標・内容・方法において知的障害教育と通常教育の親和性がみられた一方で、知的障害生徒に対し、彼らの特性を知る専門性をもった教員による指導の必要性が示唆された。歴史的に形成されてきた知的障害教育の職業教育カリキュラムが、カリキュラム1本化後にキャリア教育にどのように受け継がれたのかを分析整理する。②CDOS(Career Development and Occupational Studies Standards)が形成された背景とそのの課題を分析整理する。 さらに、これまでの研究成果を踏まえ、キャリア教育を軸とした通常教育と知的障害教育の学びの連続性のあり方、教科横断的なキャリア教育カリキュラムにおける共同的学びと個別最適な学びの実現について総合的に分析・考察をする。
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Causes of Carryover |
研究成果を学会誌に発表する年度を、今年度ではなく次年度にすることになったため。
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Research Products
(3 results)