2022 Fiscal Year Research-status Report
保育における障害の可能性のある外国人幼児の早期把握と支援に関する研究
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21K02716
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
野澤 純子 國學院大學, 人間開発学部, 教授 (20451693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 祥代 千葉大学, 教育学部, 教授 (30337852)
藤後 悦子 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (40460307)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 発達障害のある外国児幼児 / 早期把握 / 就学移行支援 / インクルーシブ保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.文献研究、2.国内都市分散型地域の面接調査、3-1多国籍の外国人幼児の入所の多い1自治体の全園対象の質問紙調査、3-2 同自治体の地域子育て支援部門の専門職への面接調査、4.国外先進地域のフィンランドの移民の子どもへ保育に関するオンライン面接調査を実施した。収集した調査データを障害の可能性のある外国人幼児の早期の把握と支援における阻害/促進要因、および、円滑な就学移行の阻害/促進要因の視点から分析した。 1.外国人家庭の子育ての課題と必要な支援に関し、子育ての困難さと子育て支援の動向を概観した。結果、地域や国籍に係わらず共通する困難さと、外国人が多く居住する集住地域と散在地域では異なる様相が示された。また、災害、親の精神的不調、子どもの障害などにより支援が必要な家庭には、医療通訳、キーパーソン、母語による音声情報や支援に必要な基本単語の多言語化、関係機関との連携、発達健診の基準の確立などの必要性が示され、よりよい子育て支援を検討した。2.保育所における外国籍の特別ニーズ児への対応課題について都市型散在地域の保育士、保育職員を対象に面接調査を実施し、要因分析をM-GTAを用いて分析した。3.1自治体の保育上気になる外国人幼児の担当保育士を対象に質問紙調査を実施し、支援の促進/阻害要因を分析した。また親子で利用する地域の子育てひろばの事例を分析し、障害の可能性のある外国人幼児の把握において親子の行動観察が可能な子育て支援の場の有用性を示した。保健センター健診部門、日々利用する保育所との連携強化の必要性が示された。4.フィンランドの移民受け入れと保育の実際について、現地園の園長および保育者を対象にオンライン面接調査による実態把握をした。母語の保障、外国人保護者への通訳を活用した対面コミュニケーション保障の公的システムの重要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスにより、一部の研究計画の遂行が困難であった。具体的には、保育者、関連機関職員との面接調査の一部、外国人幼児を受け入れている保育機関 等における実施調査の一部、国内外先進地域の実地調査が実施できなかった。 実施困難となった計画については、研究分担者、および研究協力者、研究協力機関と協議し、次年度以降に延期することとなった。国外調査については、オンラインによる面接調査による一部代替措置をとったが、研究終了時までに実地調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.外国人幼児の保育に関連する職員への面接調査調査を速やかに実施する。対象:保育者、児童発達支援等の専門職、保健師、外国人支援担当専門職等。 2.国内の複数の外国人集住および散在地域において実地調査を実施する。各地域の取り組みから、発達障害の可能性のある外国人幼児の早期把握に有用な事例を収集して整理し、地域共通の事項と地域特性の促進/阻害要因を分析する。 3.特別な支援が必要な外国人幼児の小学校への就学に関し、移行支援の実態から促進要因、疎外要因を整理する。対象は、移行支援に関連する専門職および教育委員会、教員等と対象に実態をあきらかにするための調査をする。調査方法は質問紙、面接調査とする。前年度まで研究成果および1~3の研究結果に基づき、保育者による外国人幼児の発達障害の早期把握における促進要因、疎外要因を分析する。 4.保育者による発達障害の可能性のある外国人幼児の早期把握・支援の手引書試案、支援提供モデル試案を提示する。これまでの研究による発達障害の可能性のある外国人幼児への支援の促進および阻害要因の分析結果に基づき、保育者が活用可能な手引書案を作成する。外国人幼児の支援ニーズの把握と支援・家庭との連携の手引書試案を作成、モデル案を提示する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの拡大により、研究計画上の実施予定であった、国内対象園・機関での対面での面接調査および、実地調査の一部が実施できなかった。また国外先進地域の実地調査も不可であり、オンライン調査に切り替えた。これらの研究実施に必要であった、調査対象 者への謝金、調査旅費、その他調査諸費用、データ入力・分析用機器代金が未使用となり、次年度使用額が生じた。次年度使用金は、延期した研究実施のために 使用する。
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