2022 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化時代における視覚特別支援教育と日本語教育の有機的連携に向けた基盤構築
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21K02727
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
河住 有希子 日本工業大学, 共通教育学群, 准教授 (10605372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 恵 立教大学, 日本語教育センター, 特任准教授 (80606070)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 視覚障害者 / 点字 / 日本語学習 / 日本語教育 / 日本語教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は視覚に障害がある日本語学習者の中でも、特に初学者を対象とした日本語点字導入教材の作成、及び、入門段階の学習教材作成に向けた調査を行った。 具体的には、日本語点字一覧表に対する音声ガイドを多言語に翻訳し、広く一般に公開する準備を進めている。日本語版と中国語版は完成し、英語版とロシア語版は校正段階にある。今後、視覚に障害がある日本語学習者の所在が複数確認できている東アジア、南アジア諸国への対応を検討している。入門段階の学習教材作成に向けては、視覚障害者を対象とした歩行訓練や生活訓練の教材に基づき、視覚に障害がある日本語学習者が日本で生活する中で言語による支援要請を行う場面を選定し、妥当性や優先度を検討している。次年度はこれらの場面での実際の会話調査を行い、教材作成の準備を進める。 2022年度はCOVID-19の影響により視覚に障害がある日本語学習者の来日が叶わなかったため、当初予定していた授業実践や参与観察、学習者自身や関係者への調査を行うことができなかった。また日本国内の視覚特別支援学校等への訪問調査も行うことができなかった。複数年にわたって留学生の派遣ができなかったことは、国外の送り出し機関にとっても日本の受け入れ機関にとっても影響が大きく、助成金の縮減による留学生受け入れ停止等の影響も生じている。本年はそのような中でも、海外に在住する視覚障害者が日本語学習との接点を持てるように、急遽研究計画を拡大し、自学自習が可能な導入教材の作成に着手し、その一部を公開するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19パンデミックの影響で留学生の受け入れが停止したことから、授業の参与観察やJSL児童生徒とその関係者への調査等を行うことができなかった。また視覚特別支援学校、盲学校等を訪問しての調査も自粛した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は調査協力機関で日本語科目(留学生対象)の再開が決定したため、2022年度に実施することのできなかった授業実践、参与観察および、関係者への調査等を行う。 また、2022年度、当初計画が遂行できない期間に研究計画を拡大し、海外で視覚に障害がある初学者が学ぶための教材の作成に着手したため、その作成も進める。同教材は本研究課題の主目的である日本国内の視覚特別支援学校、盲学校等での日本語教育(入学前準備教育)で活用できるものにすることを想定している。
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Causes of Carryover |
日本語教育学会および日本語教育方法研究会がオンライン開催となったため、出張旅費が不要となった。また、視覚特別支援学校、盲学校等への訪問調査を自粛したため、当該旅費も2022年度は執行しなかった。加えて、対面で予定してた研究分担者、研究協力者との打ち合わせもすべてオンラインで行う体制を構築したため、関係者の旅費と会議費が不要となった。 上記予算は、遠隔会議等に必要な経費(端末、インターネット環境等)にあてる。また、社会情勢の変化に応じて研究計画を一部見直したため、新たな計画に必要な資料収集、印刷製本等にあてる。
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