2021 Fiscal Year Research-status Report
Treatment and prognosis of the developmental disorders- a Baysien network analysis
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21K02728
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
塩川 宏郷 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (10306110)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発達障害 / 早期療育 / 特別支援教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子どもの支援者や保護者による発達障害の早期診断と適切な早期療育の選択を可能とし、予後の予測を行うことを目的としている。その方法論として発達障害のある児の診療録等のテキスト情報をベイジアンネットワーク分析を用いて検討するという点が注目すべき点である。 令和3年度は研究開始のためのハードウェアおよびソフトウェアの導入等環境整備を行い、パイロット的にすでに収集されていた200例程度のデータを用いて分析を行った。発達障害のある児の「初診時の主訴」と「診断名」および実施された「療育」の関係性についてベイジアンネットワーク分析を行ったところ、「主訴」と「診断名」、「主訴」と初期の「療育」には一定の関係性が高い確率で認められた。特定の主訴から選択される療育と、診断名から選択される療育とにはほぼ同等の関係があり、早期療育は医師による診断前から開始することが可能であることが示唆された。このことにより、子どもの発達上の問題を過度に医療化することなく支援につなぐことが可能になり、保護者や養育者の負担の軽減および支援者の支援方針決定も容易になる。 これらの点をさらに検討するために後方視研究が必要であり、研究初年度はその実施準備を開始した。重視されるものは療育実施後の発達状況評価であり、就学時の子どもの状態像を保護者がどのようにとらえているか、子どもの適応レベルを含めて評価する必要がある。本研究では、療育終結時の評価として子どもの強味と日常生活上の困難を取り入れている。これにより、どの療育がどの強味につながっているのか、あるいはどの主訴がどの日常生活の困難につながるのかを確率的な表現として得ることが可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度には後方視研究の実施と前方視研究の準備を行うことを予定していた。後方視研究については予備的分析が終了し、方法論が妥当と判断されたため今後データ量を1000例程度まで増やす準備を開始している。 前方視研究に向けては研究協力者のエントリーにむけた手続き(説明文書の作成、倫理審査等)を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度には、後方視研究のデータを1000例程度以上に増やしより詳細な分析を行う。また、前方視研究のエントリーを開始し、研究終了時点までの療育経過についてデータを収集する。中間的な成果を日本小児精神神経学会等で報告する。
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Causes of Carryover |
令和3年度は研究実施環境の整備に助成金を使用した。実質的な作業に人件費は発生せず、成果発表等の旅費も使用しなかった。 令和4年度においては、研究成果発表のための学会参加やデータ入力の人件費、エントリー作業のための印刷費や郵送代が発生する。また、ソフトウェアの更新・メンテナンス費用にも助成金をあてる。
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