2022 Fiscal Year Research-status Report
数の基本原理獲得期における発達のつまずきと概念変化プロセスの解明
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21K02731
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
山口 真希 花園大学, 社会福祉学部, 講師 (20637623)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数概念 / 基数性 / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、子どもが幼児期に数概念をどのように獲得していくか、とりわけ数の基本原理をどのように理解していくかというプロセスを明らかにしようとしている。本年は、第二年目にあたり、計画書では第2実験を実施する計画であった。一年目の第1次実験においては、調査協力園に在籍する3歳児クラスの幼児を対象に個別面接を実施し、4歳前後の子どもの数概念の変容を把握した。第1次実験の分析を進める中で、4歳前後よりも早期における子どもの思考を把握する必要性が確認された。そこで、第2実験のデザインを再考し、本年度は2歳児クラスの幼児を対象とする個別面接を実施することとした。実験課題や手続きは一年目と同様にし、研究課題計画時には想定していなかった追加課題も実施した。追加課題は、大きさ(量)の異なる積み木の集合を等量に2つに分ける課題であり、正誤に加えて子どもの方略を分析対象とした。二年目に収集をした2歳児に関するデータは、一年目の3歳児に関するデータと合わせて分析中である。 一方、一年目に第33回日本発達心理学会で発表をしたデータを再分析し、第1回K式発達検査研究大会にて発表した。基数性の理解に至るまでには、数える方略の変化が見られ、数を取り出す課題に使用される方略の変化と連動していた。幼児においては、数に対して未分化な関心から、1個ずつ正確に把握する志向性が芽生え、やがて小さな集合における合成分解の理解に至ると想定される3つの段階が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年10月23日に行われた第1回新版 K 式発達検査研究大会では、本年度の研究成果を発表した。発表タイトルは「子どもの数概念発達における基数性の理解過程」であり、標準化された検査項目との関連性という新たな視点を得ることができた。また、発達心理学会はじめ他の学会や研究会を通し、本研究課題の位置づけを捉え直すきっかけを得たとともに、引き続き、研究協力園にて調査を実施することができた。ただ、一年目の新型コロナウイルス感染症の再拡大時に調査実施が遅れ、計画が滞った状況を回復するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、今年度の調査を開始し、並行して論文執筆を進めたい。第1回新版 K 式発達検査研究大会で発表した内容をもとに加筆修正し、成果を報告する。追って、現在分析中のデータをまとめて、次の執筆を進めていく。第35回日本発達心理学会が年度末であるため、これまでの成果を合わせて、基数性理解に至るプロセスを整理して報告したい。
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Causes of Carryover |
研究計画の第一年次及び第二年次において参加予定をしていた学会、研究会の多くがオンラインもしくは近隣での開催となった。また、調査協力園も近隣で確保することができたため、旅費の支出が大幅に削減された。 今年度は、多くの学会が対面開催に戻っており、遠方の学会も予定されているため、まずは旅費として支出したい。また、海外雑誌に本研究課題と関連する論文が複数掲載されていることより、当該雑誌を入手したいと考えている。
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