2021 Fiscal Year Research-status Report
SRAS-Rを用いた不登校行動の理解と行動コンサルテーション技法への応用
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21K02734
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Research Institution | Sakushin Gakuin University Women's College |
Principal Investigator |
矢野 善教 作新学院大学女子短期大学部, 幼児教育科, 講師 (10848352)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不登校行動 / 機能的行動アセスメント / 行動コンサルテーション / 特別支援教育 / チーム学校 / 教育相談 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年6月~7月にかけて一自治体の小・中学校27校に不登校行動の機能行動アセスメント尺度を用いた調査を実施した。不登校機能アセスメント尺度は、不登校がなぜ継続しているのかその原因を24項目の質問に回答することにより明らかにすることができる。質問紙は小学生版(フリガナ入り)と中学生版を作成した。1つの機能毎にそれぞれ6項目の質問が割り当てられており、①ネガティブな感情、②対人・評価場面の回避、③注目の獲得、④学校外の強化子となっており、それぞれの合計を6で割り、項目平均得点を算出した。回収率は小学校が61.5%、中学校が55.0%であった。 小・中学生の回答結果から、「③注目の獲得」の「2.0-2.9」の割合が高いことが明らかとなった。特に小学生においては、2番目に高く、全体の4分の1を占めている。また、中学校では、3番目に高い。この結果から、児童生徒は、保護者からの注目を獲得するために登校を渋る可能性が考えられる。また、「④学校外の強化子」の「2.0-2.9」に割合が高いことも明らかとなった。小・中学生ともに2番目に高く、全体の4分の1以上となっている。この結果から、児童生徒は、学校外の強化子(ご褒美)の強さにより投稿を渋る可能性が考えられる。この2点については、小・中学生で大きな差はなかった。割合は全ての項目において、「1.0-1.9」が最も多いため、多くの児童生徒が学校に対して意欲的に登校していると考えられる。しかし、「③注目の獲得」と「④学校外の強化子」は、「2.0-2.9」の割合が高いため、家庭と連携しながら、支援を展開していく必要がある。また、「3.0-3.9」以降の子どもたちを「0」に近付ける必要がある。 上記の調査研究と並行して、不登校行動との関連として高等学校の特別支援教育および教育相談の現状と課題について、先行研究を概観し、次年度の研究へとつなげた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は不登校行動を示す児童生徒への介入支援を単一事例実験計画により、実施する予定であったが、新型コロナウイルス蔓延のため、現場での介入研究を行うことができなかった。そこで、不登校行動の現状把握を目的に、一自治体の全小・中学校の児童生徒を対象に不登校行動の機能的行動アセスメント尺度を実施し、学校に登校している児童生徒の潜在的な不登校行動に対する傾向を分析した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に実施した調査の学会発表および論文発表を行う。 また、現在、不登校行動が生起している児童生徒に対して不登校機能的行動アセスメント尺度を実施し、その結果から得られた機能に基づいた介入計画を立案し、それぞれの目標に応じた不登校行動の改善に向けた行動コンサルテーションを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延および感染防止対策により、県外出張が困難となったため、介入研究に際する旅費の支出が無くなった。 よって、急遽、一自治体の全小・中学校の児童生徒への不登校行動機能的行動アセスメント尺度の実施に変更した。変更に伴うアンケートの作成およびアンケートの集計に研究費を割り当てた。 次年度は、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底しながら、不登校行動を示す児童生徒に対する介入研究を実施する予定である。
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