2021 Fiscal Year Research-status Report
手指作業に苦手意識を持った児童・生徒の作業上達過程における手指動作の研究
Project/Area Number |
21K02742
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
紅林 秀治 静岡大学, 教育学部, 教授 (60402228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 久夫 びわこリハビリテーション専門職大学, リハビリテーション学部, 教授 (00142373)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 巧緻性 / 手指動作 / モーションキャプチャ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の教育では、STEM 教育の普及により、授業の中にものづくり作業を取り入れる場面が多くなった。しかし、ものづくりを取り入れた授業は、児童・生徒の学習意欲を喚起する一方で、手作業が不得手な児童・生徒には苦手意識が強くなり、学習意欲が低下する傾向も見られる。苦手意識を持つ児童・生徒は、自身を不器用であると考え、手作業を伴う学習を避けるようになり、自身が成人に至るまで苦手意識を持ち続ける可能性が高い。ところが、手作業の苦手意識を克服するための教育方法の研究は、見当たらない。 そこで、本研究では、児童・生徒の手作業の苦手意識を克服するための指導法を確立する。そのために、手指を使った作業の過程をモーションキャプチャによって数値データ化する。そして、そのデータを基に、作業の上達過程における手指動作の変化を明らかにする。その結果から苦手意識を克服するための指導方法を考案する。 今年度は、本研究で使用するモーションキャプチャシステムを利用して、中学生104人に折紙とはさみの手指の動作について調べた。同時に、手先の器用さに関する自己評価アンケートも行なった。折り紙に関しては、半分折りの頂点のズレを測定し、はさみに関しては、切断線のズレの数をカウントした。そのデータを手組機の器用さの指標とした。 アンケートの集計結果と手先の器用さの相関を出した後、手指動作のキャプチャデータから、動きが比較的大きい人差し指の移動距離や第二関節の角度変化、親指の指先の移動距離を算出する。 現在、算出の最中であり、この結果から人指し指の角度や親指の動きと手先の器用さの関係を明らかにする。研究結果は、夏に行われる学会や研究発表会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のために、小学校での計測が出来なかったことが原因として挙げられる。小学生に関しては本年度実施したい。また、出張等も制限されていたため、リハビリテーション関係の研究者と意見交換や学校教員との打ち合わせがが十分できなかった。研究の特性上、打ち合わせ等は対面で行う必要があることも、やや遅れた原因でもある。 現在、中学生を対象に取得したデータを分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
中学生104人分のデータ解析を行い、手先が不器用で苦手意識を持っている生徒の手指の動きの特徴を明らかにする。 モーションキャプチャで得たデータは、指の各関節の位置情報である。その位置情報は、3次元座標で表され、0.03秒毎に記録されているため、各関節の動作速度や各速度が算出できる。折り紙とはさみの作業結果を作業が上手な生徒とそうでない生徒に分類し、指の関節動作や角速度の違いを明らかにする。指の関節の移動速度や角速度から、作業が上手な生徒は無駄な動きが少なく、作業が上手ではない生徒は無駄な動きが多いのではないかと推察されるが、データ的に検証することを試みる。さらに、指の動きから、無駄な動きをなくすための指導方法も検討する。 小学生でも同様な調査をする。手先が日器用な生徒の手指の動きから、作業における指の動かし方の指導をし、手指の動作の変化を記録する。得られたデータから、同様に分析し、作業が上手になるための手指の動きの指導を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために、小中学校の先生と対面での打ち合わせができなかった。そのため、各学校へ機材を持ち込んで測定することができず、計測を断念せざるを得なかった。その結果、旅費と謝金が今年度分が使用しきれなかった。 2022年度は、コロナ禍の制限が少し緩くなったため、小学校の先生方との研究打ち合わせを2回ずつ行う予定である。びわこリハビリテーション大学との研究打ち合わせも2回行う予定である。その旅費として使用する予定である。謝金は、小学校での計測遂行のための手伝い学生に謝金として使用する予定である。
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