2023 Fiscal Year Research-status Report
数学の探求学習に伴う行動ログデータのマルチモーダルなアナリティクスから学習支援へ
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21K02752
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
金子 真隆 東邦大学, 薬学部, 教授 (90311000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北本 卓也 山口大学, 教育学部, 教授 (30241780)
江木 啓訓 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (30422504)
野田 健夫 東邦大学, 理学部, 教授 (90431618)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 深度センサー / 動的幾何 / 操作ログ / 対話ログ / 体動ログ / マルチモーダル分析 / 数学協調学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、数学の学習者が動的幾何コンテンツを用いて行う学習の中で、操作ログ、発話のログに加えて体動のログをセンサーによって取得した上、これらのマルチモーダルな分析によって学習者の思考過程を追跡することを目的としている。昨年度までに、協調学習の場面でセンサーを用いた体動のログ取得の技術的なノウハウがある程度固まってきたことをふまえ、本年度は実際に取得したログデータをもとに、操作ログや対話ログと照合することによって、思考の進展の度合いによって体動ログの傾向にどのような違いが出るか、探索することを試みてきている。結果的に、協調学習の作業スペース内に配置するタブレットや記述用紙の配置をもとに、学習者の頭上に設置した深度センサーを用いて、手指の位置がそれらの領域をどのように往来するかという時間遷移のログを取得するした。この遷移の状況を調べることによって、学習の進捗状況をある程度把握できる可能性が示唆された。より具体的には、タブレット領域における操作、数式表現の指差し動作、記述用紙における思考過程の記述動作との間の遷移が適切に行われていると、操作状況の観察結果と数式表現からくる情報との対照が適切に行われている可能性が高くなり、思考の進展が発生する確率が高くなるというものである。取り上げた学習課題は、三角関数の加法定理の一般化の証明、データ点のアフィン変換における相関係数の不変性の発見と理由説明など、探索的な課題が多く、学習データが複雑化しやすくて、グループメンバー間の対話に関する力関係が影響する面も観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度も2022年度に引き続き、協調学習の形をとった教育実験を数多く実施し、相当量の学習データを取得てきている。こうした実験の際に、深度センサーを用いたログ取得にあたり、タブレット領域や用紙領域の情報に学習者の頭部が入りこむことにより、手指の動きの追跡が難しくなる場面が少なくなく、体動ログの分析に手間取る結果となった。現状では、手指の動きを確認できる時間帯に絞って操作ログ・対話ログとの対照を行って一定の結果を得ている状況である。その一方で、センサーから取得される頭部の位置情報をもとに、グループメンバー間の頭部の間の距離を追跡することにより、学習活動へのengagementの程度が把握される可能性が示唆されており、この方面での分析にも力を注ぐ必要があった。今後、本研究の補助期間の中で一定の知見を得ていくためには、現段階までに得られている学習データの分析について、かなりスピードを上げて取り組む必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
学習者の頭部による遮蔽のセンサーデータへの影響を軽減するため、カメラやコンテンツの設置位置について、さらなる検討を続ける必要があると考えている。 また、現段階では、センサーデータと対話・操作のログとの対照を主に質的に行っているが、分析の客観性を担保する上で、量的なシグナルを抽出する必要性も想定している。 三角関数の加法定理の一般化の証明、相関係数の不変性のいずれのタスクについても、相当量の学習データが取得できていることから、これらの分析を早急に行った上で、国際会議・国内学会での発表を行い、関連する研究者からの意見なども徴したいと考えている。
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Causes of Carryover |
COVID19感染拡大による国際会議のオンライン化や、いくつかの国際会議が幸い国内で開催されたことに伴い、海外に出張しての研究発表を最終年度に持ち越した。2024年度はすでにISLS2024など複数の学会での発表が決定しており、請求額を予定通り使用できる見込みである。
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Remarks |
標記ウェブサイトは、本研究の代表者・代表者の研究結果の一部を含め、科学教育学会の課題研究に関連したトピックをまとめたページで、ゲストアクセス可能の設定としている。アクセスされる際は、ログイン画面から「ゲストアクセス」の項目を選択していただきたい。
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Research Products
(16 results)