2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of STEAM education program through the integration of traditional crafts and digital fabrication
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21K02761
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
佐藤 慈 九州産業大学, 芸術学部, 教授 (90412460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 幹太 九州産業大学, 芸術学部, 教授 (70159276)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | STEAM教育 / デジタルファブリケーション / 伝統工芸品 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、福岡市立東月隈小学校5年生の「総合的な学習の時間」において、3クラス、計76名を対象として、福岡県の伝統工芸品である博多張子のお面を、3DCADソフトウェアと3Dプリンターを使って制作する授業を実施した。伝統的な博多張子のデザインに触れる機会を子どもたちに提供するために、博多張子の代表的なお面として知られるひょっとこをモチーフとして選定した。また、工芸品をデジタル化することによって、データを保存および活用できることを学んでもらうために、既存の伝統的なひょっとこの型を3Dスキャナーでデータ化したものをモデリングのベースとして用いることにした。このベース上に、前もって準備された目と口のパーツを、移動、拡大縮小、回転させながら自由に配置してもらうことで、オリジナルのひょっとこの型をデザインできるようにした。また、算数の学びを応用させるために、3Dプリンタ―で出力可能な寸法を数値で指定し、その範囲内でモデリングさせた。モデリングは、福岡市が小学校に導入したChromebookを用いて行った。3DCADソフトウェアには、Webブラウザで操作ができる無料のTINKERCADを使用した。 授業の配当時間は、前年度のワークショップで得た経験を踏まえて、2時間×3回、全6時間とし、2023年9月21日、10月5、19日に実施した。授業後に、児童を対象としたARCSモデルに基づいたアンケートを実施した結果、注意、関連性、自信、満足度のすべてのカテゴリーにおいて4.5以上と高い点が得られた。この結果から、今回開発した教材が、伝統文化とデジタルファブリケーションを統合的に学習できるSTEAM教材として有効であることが示唆された。 活動成果は、2023年2月23~2日に、福岡市内の商業施設、天神ソラリアプラザで開催された「九産大プロデュース展2023」において公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度に前倒しでワークショップを実施することができたため、2022年度は、ワークショップで得られた経験と知見に基づき、小学校5年生の「総合的な学習の時間」において開発したSTEAM教育を実践することができた。授業後に児童を対象としてARCSモデルに基づいたアンケートを実施したところ、注意、関連性、自信、満足度のすべてのカテゴリーにおいて高い得点が得られた。また、授業後に、担任の先生方を交えて実施したミーティングにおいても、小学校、大学、そして伝統工芸の産地組合といった地域各所の連携による教育プログラムが、子どもたちの教育によい影響を与えることが意見交換の中で確認された。 小学校における実践を通じて、今回開発した教材が、伝統文化とデジタルファブリケーションを統合的に学習できるSTEAM教材として有効であることが示唆されたため、2023年度は、開発した教材を小学校の授業で活用可能なかたちにまとめ、広く公開するための準備を行うことにした。 また、2023年度に予定している高校におけるSTEAM教育の実践に向けて、2022年10月29日、11月5日、12日に、福岡市の文化複合施設、なみきスクエアにおいて高校生を対象としたワークショップを試験的に実施した。参加者は中学2年生1名、高校2年生2名、高校3年生1名、計4名であった。高校生向けに難易度を上げてモチーフをだるまに変更したところ、型のモデリング、和紙張り、型だしの難易度が、想定以上に上がることが分かった。特に難易度が高いのはモデリングであり、だるまのかたちに合わせて、細かく移動、回転、拡大縮小しなければならないことが理由として挙げられた。中学校、高校においても、マウス操作に慣れていない生徒にとっては難しい課題となる可能性が高く、生徒のスキルに応じてモデリングの難易度を調整する必要があることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校における実践に続き、次は中等教育における伝統文化とデジタルファブリケーションを融合したSTEAM教育の可能性を探ることを目的として、小学校よりも高度な内容を取り入れた博多張子制作ワークショップを高等学校において実施する予定である。具体的には、博多張子の型の制作過程に3Dスキャナーを取り入れることを検討しており、使用に適した機器の選定を行っている。福岡市地域産業支援課の協力により、福岡市立博多工業高等学校において実施することが決まっており、博多伝統職の会および高校担当教員と連携しながら教育内容およびスケジュールを調整中である。現時点では、7月~10月中の実施を予定している。 また、令和4年度に東月隈小学校で実施したSTEAM教育の内容と、ARCSモデルに基づいて実施したアンケートの結果をまとめて考察し、2023年6 月に予定されている日本デザイン学会春季研究発表会において口頭発表を行う予定である。 さらに、小学校における実践を通じて得られた経験や知見に基づいて教材をブラッシュアップし、3DCADソフトウェアと3Dプリンターを活用して博多張子のお面を制作するSTEAM教育コンテンツとして、小学校の教員に向けて公開するための準備を行う。
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Causes of Carryover |
授業を実施した小学校のICT環境や制作環境が整っていたため、想定よりも費用がかからなかったこと、また、県外で開催を見込んでいた学会の研究発表大会がオンライン開催になったことなどから、計上していた予算が未使用となり、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は、高校で実施予定のSTEAM教育ワークショップ、学会発表の経費、および教育コンテンツの公開に伴う費用として使用する予定である。
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Remarks |
(1)は中高生を対象として実施した「博多張子×STEAM教育ワークショップ」の告知ページ。
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Research Products
(5 results)