2021 Fiscal Year Research-status Report
マルチメディアを利用したイメージ・スキーマ形成の活性化と外国語教育への応用
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21K02776
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
李 相穆 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (60400298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PARDESHI P.V. 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 理論・対照研究領域, 教授 (00374984)
岡田 美鈴 宇部工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (90776543)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マルチメディア / イメージ・スキーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は外国語の学習過程でマルチメディアのどの要素が学習者のイメージ・スキーマ形成を活性化し学習を促進しているのかを解明し、その研究結果を外国語教育分野へ応用することである。そこで、研究代表者が参加した国立国語研究所プロジェクト「日本語学習者用基本動詞用法ハンドブックの作成」と基盤研究(C)「マルチメディア外国語教材と学習者のインタラクションに関する言語行動学的研究」、「マルチメディアを用いた外国語学習過程のモデル化」、「マルチメディアが外国語学習者のイメージ・スキーマ形成に及ぼす影響とメカニズム」の研究結果を踏まえ、マルチメディアのどの要素が外国語学習者のイメージ・スキーマ形成を活性化できるかを特定する。また、外国語学習者を対象とした学習過程観察と習得実験を通して、学生がもつイメージ・スキーマの構造が学習成果に及ぼす影響を調べる。最終的な目標として外国語学習でマルチメディアが果たしている役割と語彙習得のメカニズムを体系化したい。 今年度は動きを表す言葉である動詞の意味を学習者が理解し、自分の記憶システムに保存していく仕組みについて先行研究をまとめた。特に1つの形式が2つ以上の意味を持つ多義語を中心として学生は語義ネットワークをどう理解し構築していくのかを研究し、実際の発話場面でその情報をどのように活用していくのか、そしてどのようなエラー(誤用)をするのかについて言語学や認知言語学的知見も取り入れ研究をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度はコロナの影響で学習者を対象とした実験ができなかった、現在は以下のことを研究中である。 1. 動詞と関連する視覚情報についての心理実験-動きや状態の変化等を表す視覚情報を提示した場合、視覚情報の種類(静止画、連続イラスト動画、動画)によって学習者が動きを認知し言語化していくプロセスが異なるのかどうかを解明している。 2.効果的な学習のための視覚教材についての研究では視覚情報の具体性についての一貫した結果がまだ得られていない。教授項目、表現したい事柄により適切な視覚情報が異なると考えられる。例えば、静止画、連続イラストだけではダイクシス(例えば「あがっていく/くる」のような話者の位置に依存する表現)を表すのは難しい。そのような場合に動画が効果的であると考えられる。動画により、話者の位置と選択されている表現の関係が確認でき、学習者の記憶に深く刻まれると思われる。そこで、動詞の種類によってそれを代表する視覚情報はどのようなものであるのかについて、学習者を対象とした学習実験やアンケートで解明していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
動詞の学習過程で明らかになったイメージの種類、利用法を現在の日本語教材、日本語辞書に取り入れるために映像データベースを構造化し実用化を図る予定である。外国語教師が動詞の意味を学習者に提示したり、学習者が動詞の振る舞いを正確に把握したりするためにこのシステムを利用することが想定できる。
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Causes of Carryover |
2021年度予定していた学生を対象した認知実験がコロナの影響で行うことができなかった。2022年度はその認知実験を行うのと研究成果発表の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(12 results)