2021 Fiscal Year Research-status Report
保育学生が熟達保育者の「みえ」を疑似体験できるVR映像教材の開発と評価
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21K02800
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
湯地 宏樹 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50290531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯地 由美 四国大学, 生活科学部, 講師 (40807426)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バーチャルリアリティ / 映像教材 / 保育者養成 / 実践知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ポスト・コロナ時代の保育者養成のあり方を見据え,オンライン授業の一環として,熟達保育者の「みえ」を疑似体験できるVR映像教材を開発し,その有効性について明らかにすることを目的としている。 本研究は,Dreyfus&Dreyfus(1987)の技能発達モデルのうち,保育学生(Novice)と熟達保育者(Expert)に焦点を当てている。今年度は,その前段階として,次の2つの研究を行った。これらの研究成果は,今後の研究の見通しになった。 1.幼稚園,保育所,認定こども園,教員志望学生を対象に調査を行い,保育者の所属による違い,経験年数による違い,保育者と教職系大学の学生との違い,「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の特徴や「育みたい資質・能力」「5領域」「主体的・対話的で深い学び」とのそれぞれの関連について検証した。保育者と学生とでは子どもを「見取る力」に差があること,経験年数が浅い保育者も,学生と同様に「育みたい資質・能力」「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」などの評価が低かったことから,子どもを「見取る力」は経験によって培われるものではないかと推察できる。 2.保育者に対するインタビュー調査を行い,テキストマイニング分析によって,保育者のドキュメンテーションや子どもの評価に対する考えの特徴を検証した。その結果,子どもの姿の振り返りの手立てとして記録を工夫していること,家庭との連携や小学校の先生との共有手段としていることなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は保育者の保育の見方・考え方を検討するために,質問紙調査とインタビュー調査の2つの研究により検討することができた。 バーチャルリアリティ(Virtual Reality,以下VRと略す)はすでに医療、福祉などの分野などで応用され,学習者の意欲を喚起し学習効果があったことなどがいくつか報告されている。今年度は保育の分野におけるVRの応用を試行するために,園の環境や保育場面の撮影を行い,映像教材の開発を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は熟達保育者と保育学生を対象にし,被験者にVRを装着してもらい,保育環境や保育場面を映した映像をみてもらう。そして,何をみていたか,どこをどのくらいの時間,注視していたかを計測し,熟達保育者と保育学生と比較することによって計量的に分析する。「みえていること」の振り返りについて,非構造化面接法を行うとともに,保育記録を提出してもらう。インタビューの逐語録から,オープンコーディング,焦点的コーディング,概念的カテゴリーを生成する(佐藤,2008)など質的な分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
VR映像教材を開発するために,「ウェアラブルアイトラッカー」で撮影することを計画していたが,360度カメラを用いて撮影した映像を基にVRシステムで代用したために,当初の予算よりも安価に購入することができた。 今年度は熟達保育者と保育学生を対象にし,被験者にVRを装着してもらい,保育環境や保育場面を映した映像を見てもらうとともに,インタビュー調査を実施する予定である。そのために人件費・謝金及び先行研究の検討のための文献等の購入を予定している。
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Research Products
(2 results)