2021 Fiscal Year Research-status Report
Theory and Practice for Sustainable Societies by Creative Learning in Authentic Environments
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21K02812
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
宮田 義郎 中京大学, 工学部, 教授 (00239419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南部 美砂子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (10404807)
上芝 智裕 中京大学, 工学部, 准教授 (30340186)
亀井 美穂子 椙山女学園大学, 文化情報学部, 准教授 (40410609)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オーセンティック学習 / Local Domestic Products / 創造性 / 学習アージ / 創造的行為の視野 / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバルな課題と、ローカルな日常生活との間のギャップを埋めるという研究テーマに関して、実践の分析から有効な理論的手がかりが得られた。 「不用品を活用したものづくり」という活動、三野宮の貼り箱工房でのツールデザインの実践などの分析から、「使えるもの・使えないもの」「できること・できないこと」の境界を曖昧化する好奇心と挑戦心の循環により、創造的行動の視野が広がっていくプロセスが明らかになった。 地域活動としては、名古屋地域での愛知ワークショップギャザリングを対面で開催した他は、COVID-19によって対面の活動が制限されていた。その反面、家庭で日常的に行える創造活動が促進され、またオンラインツールの普及により、学校や職場では得られなかったような、家庭や自室などでの個人的に意味のある創造活動が、グローバルに共有されるという現象が観察された。World Youth Meeting では、日本、タイ、アメリカの学生がオンラインでコラボレーションし、それぞれの実践活動を統合して成果を発表した。 これらの実践にもとづき、理論面では、上記のような境界が形成された歴史的な経緯の考察を進め、戸田の文明論(1973)の生態学的な検討による再構築という形でまとめ、論文として発表することができた(宮田、2021)。特にさまざまな分野での専門化に伴う境界を形成して効率化を進めてきたGDPに対する概念として、「ローカル資源を活用して必要なものを自分たちで作る」LDP(Local Domestic Products)を提案した。境界によって抑制されてきた創造性・学習アージをLDPによって活性化し、同時にローカルの日常生活をSDGsなどのグローバルな課題とつなげる可能性を、実践から示すことができた。 また「オーセンティック環境」の概念を「日常行為の社会的意味が可視化されている環境」と定式化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で、対面の活動が困難であった。その反面、ローカルな環境での実践を進めることができた。またオンラインツールの普及により、ローカルな環境での実践をグローバルにつなげる機会が増えて、World Youth Meetingの三国間コラボレーションのように、オーセンティック環境でのローカル活動をグローバルに共有することができた。これらにより実践をより進めることが可能になり、理論化も進めることができた。ただ共同研究者同士が実践を共有することが困難となり、活動がそれぞれのローカルな実践に限定されていた。World Peace Song Projectでは、COVID-19の影響で世界各地の学校で合唱をすることが困難となり、ほとんど活動がなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度困難だった、地域連携活動の共有を進める。豊田地域、名古屋地域、函館地域、和歌山地域でそれぞれオーセンティックな実践活動を行なって共有することで、業績の概要で述べた「境界によって抑制されてきた創造性・学習アージをLDPによって活性化し、同時にローカルの日常生活をSDGsなどの社会課題とつなげる可能性」について、より多様な実践場面で検証を行う。 新しい方向性としては、豊田地域では、専門家と非専門家の境界を作らず、多様な仕事の間に境界を作らないLDPネットワーク(コミュニティー間にも境界を作らない)による実践を、足助地区、小原地区などの里山のコミュニティにおいて豊田市おいでんさんそんセンターとの連携により試みる。また、同様な手法でのLDPネットワークとして、映像クリエイターネットワークによる社会実践活動の映像ドキュメント化を試みる。 また、デザイン学会情報デザイン部会で提案されている「活動構成型デザイン」「ランブリング・デザイン」「旅するデザイン」などのデザイン原理と、上記のLDPによる実践の関連性についての検討を行う。すなわち、それらの実践活動の背後に存在すると考えられる社会的課題の「構造」を「境界による関係性の不可視化」などの概念により分析し、これらのデザイン原理によって創造的行為の視野が広がる過程と、それらの構造が解体されていく過程の関連性を理論的に明らかにしていく。またその理論的成果を実践に還元するという、実践と理論の循環による研究活動を行う。 学会での成果発表は、デザイン学会全国大会、認知科学会全国大会、International Conference on Media in Education 2022 などで行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、学会が全てオンラインで開催され、また共同研究者とのミーティングもオンラインで行なったために、旅費をほとんど使用しなかったために、次年度使用額が生じました。 次年度も多くの学会がオンライン開催となる見込みですが、共同研究者とのミーティングには国内旅費を使用し、複数の地域での実践現場を共有して行う予定です。 国際会議はほぼすべてオンライン開催となる見込みなので、国際旅費は使用しない予定です。 その他は予定通り使用する予定です。
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Research Products
(9 results)