2022 Fiscal Year Research-status Report
県を越えた協同学習を実現する全盲・弱視を同一教材で対応する学習支援システム
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21K02825
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
村上 佳久 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 助教 (30229976)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 遠隔授業 / 協同授業 / 人工透析 / 天変地異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、実験協力校の盲学校や視力障害センターにより、1)寄宿舎と学校の遠隔指導:寄宿舎と学校をリモートで接続し、課外時間に指導を行うことにより、遠隔指導の問題点を探る。2)他校との遠隔授業:県外他校と接続し、互いの授業の見学などを通じ、遠隔授業の問題点を探る。3)他場所の生徒の遠隔授業:他の場所にいる、生徒に対して遠隔授業用システムで接続し、教室を拡張する。4)他校との協同授業:県外他校と接続し、協同学習を実施し、他県の教諭が接続された学校を教科指導する。様々な協同学習の問題点を探る。5)他校との協同カンファレンス:県外他校と接続し、理療分野のケースカンファレンスや新患カンファレンスなどを合同で実施し、協同学習の効果を検証する。6)生徒の人工透析中での遠隔指導:病院で人工透析中の生徒に対して遠隔授業用システムなどの様々な遠隔学習・協同学習の形態が検討された。 特に、1)寄宿舎と学校との遠隔指導、3)他場所の生徒の遠隔授業、6)生徒の人工透析中での遠隔指導の3つが研究が進み、様々な知見が得られ、6)生徒の人工透析中での遠隔指導は座学授業が終了し、教育委員会との折衝で、正規授業の単位として認められた。日本でも希有の例と思われる。 一方で、2),4),5)他校との連携は、県を越えた実験のため、教育委員会などの許諾を得るのに苦労している。そのため、正規授業内以外の補習授業などから実証実験を進行し、教育的・技術的な様々な知見が得られ、その結果を基に教育委員会と折衝している。また、天変地異対策として実証実験を進めることが認められたため、技術的にバッテリーだけで動作する省電力システムを開発・検証し、実験協力校にフィードバックして研究を進めた。次年度以降に、正規授業における様々な遠隔学習・協同学習の形態の実証実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自校だけで実施できる課題については、比較的順良に進展したが、依然としてコロナ禍のため他校との調整が必要な課題については、教育委員会の許諾等も含めて、少しずつしか進展しなかった。実証実験は学校長同士の許諾でできる場合もあるが、正規の授業として単位認定されるためには、教育委員会の許諾も含めて様々な関門があり、様々な実証実験結果を示し、実証実験の段階を得ることで、教育委員会の理解が得られることが示唆された。また、各県の情報通信に関する制限のため、その制限の中で実験を進めるのが最も難しく、苦慮している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、他県との協同授業や、同一県内での他校との協同授業の実験を模索してゆく。一方で、地震や津波、風水害などの天変地異において、教育の継続がはかれるよう、被害地に於いて、他県との遠隔授業で対応できるような、バッテリー動作可能な低電力システムも含めてシステムの改良と実験を実施し、電子黒板についても検証する。 一方で、各県の教育委員会の制度上の問題、法律上の問題や、情報通信に関する規定などの問題点を整理して、どのように進めれば、県を越えた協同授業が円滑に実施できるかをなどを中心に、研究を進めていく。
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