2023 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害特別支援学校におけるプログラミング教育の実践的検討と普及促進に関する研究
Project/Area Number |
21K02828
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
水内 豊和 島根県立大学, 人間文化学部, 准教授 (30372478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山西 潤一 富山大学, 教育学部, 名誉教授 (20158249)
齋藤 大地 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (20878433)
和田 充紀 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (50756913)
山崎 智仁 旭川市立大学, 経済学部, 助教 (10984099)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 知的障害 / 特別支援学校 / プログラミング教育 / 論理的思考 / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、知的障害のある子どもたちに対するプログラミング教育のあり方について、全国各地の知的障害特別支援学校の協力を得ながら、実証的に検討してきた。その結果、プログラミング教育は、知的障害教育の教育課程に適切に位置付けることで、知的障害のある子どもにとっての論理的思考の向上はもちろんのこと、プログラミングツール自体の魅力により学びに対する動機づけが高まり、関連する認知的側面、コミュニケーションや社会性などの発達においても有効な側面があることを実践研究により明らかにしてきた。そして、知的障害のある子どもには、やみくもに試行錯誤するだけでは論理的に考えることにはつながりにくく、思考を可視化することの重要性も示唆された。つまり、「プログラミング教育」である前に、当たり前のことながらまずは「特別支援教育」であることが大切である。以下はこれまでの研究から導出された「知的障害特別支援学校におけるプログラミング教育の5つのポイント」である。1.思考の可視化、2.できたわかったを支える支援ツール、3.協働する学びの環境設定(右写真)、4.苦手を補い過度な失敗をしない配慮、5.生活に資する活動。 これらの知見は、日本特殊教育学会において自主シンポジウムにて発表したほか、学術雑誌や商業誌においても広く公開した。またプログラミング教育だけでなく、広く知的障害児の情報活用能力を高めるために、情報モラル教育やAIの活用などについても同時に検討を進めることができた。 今後は、個々の子どもの実態把握に基づき、教科・領域における学習内容の目標の達成のための学習活動の一環として、この5つのポイントに基づきプログラミングを取り入れた教育をどのように織り込んでいくのかが、これからの知的障害特別支援学校の教育現場において求められており、モデルカリキュラムを示すことが課題として残された。
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