2022 Fiscal Year Research-status Report
教員養成におけるICT活用教育に対する信念の変容とICT活用指導力の育成
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21K02830
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森下 孟 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (70642528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 英昭 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20467195)
谷塚 光典 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30323231)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 因子分析 / ICT活用教育 / 教員養成 / 教師 / 児童生徒 / 学習活動・学習環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,教員養成学部生はICTを活用した教育活動に負の信念を抱いており,ICT活用指導力育成の阻害要因となっていることに対して,①ICTを活用した教育活動に対する信念が「いつ」「どこで」「どのような」経験を経て形成されるのか,②ICTを活用した教育活動に対して積極的な信念を持たせるためにはどのような教育方法が必要であるかを明らかにすることが目的である。 2022年度では,「教師」「児童生徒」「学習活動・学習環境」の3観点に基づく質問紙調査を因子分析し,入学直後の教員養成学部生は,授業の効率化や教育方法・技術の改善,児童生徒の学習の自己調整化にICT活用教育を肯定的に捉えていることを明らかにした。具体的には,教師は3因子,児童生徒は5因子,学習活動・学習環境は2因子が抽出された。これらの結果から,教師は「デジタル化」「利便性の向上」,児童生徒:「学習促進」からみた授業の効率化,他者の「意見・考えの可視化・共有」,児童生徒:「交流促進」からみた対話的な学びをはじめとする教育方法・技術の改善に期待を寄せ,児童生徒は「ICT機器の習熟」「自己調整学習」,学習活動・学習環境では「情報保障」からみた児童生徒個人の学習スキルやスタイルに応じた学習の自己調整化に期待がされていることが明らかになった。 一方,児童生徒には書く機会の減少や視力の低下などによる認知機能や視覚機能の低下を不安視する因子「機能低下」がみられた。この因子のみに否定的な意見と捉えられる質問項目が集約されており,この不安に対応した適切な理解と対応策を学生に提示することが,ICT活用教育の推進に必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は,教育実習に向かう学部生(約250名)を対象に,教育実習前後でICT活用指導力調査を行い,教育実習を通じてICT活用教育に対する感情や信念が変化するか,その信念がICT活用指導力に影響を与えるものかを統計的手法や計量テキストマイニング手法を用いて分析することを目指していた。しかし,実際には入学直後の教員養成学部生への質問紙調査にとどまっており,教育実習生を対象とした質問紙調査を実施するに至らなかった。この点において進捗状況は遅れていると判断されるが,当初予想していなかった新入生への質問紙調査において負の感情・信念に対するステレオタイプが明らかになり,研究成果としては2023年度に大いにつながるものを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
入学直後の教員養成学部生を対象とした質問紙調査の結果,ICT活用教育に対する負の信念がICT活用指導力に影響を与えることを明らかにした。この結果をもとに,教育実習におけるどのようなICT活用授業経験がICT活用教育に対する信念を変化させるかを,教育実習前後でのICT活用への感情やICT活用指導力のデータ変化から分析する。教員養成学部入学前から持つステレオタイプが,ICT活用教育への負の信念を与えていることを明らかにしており,この根幹がどのようなところにあり,教育実習でのICT活用教育授業の実施によってどのように変化をするかを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた教育実習生向けの質問紙調査ができず,国際会議での口頭発表等を行うことができなかったため,旅費の一部を使用することがなかった。また,分析に要する人員を必要としなかったため,人件費・謝金を支出することがなかった。2023年度では,国際会議での口頭発表等を行うことを予定しており,繰り越し金額については,主に成果発表の旅費や雑誌掲載に要する費用に充てる。
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Research Products
(2 results)