2022 Fiscal Year Research-status Report
在宅学習における学生の授業中の行動と学習プロセスに関する研究
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21K02839
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
尾澤 重知 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (50386661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 裕生 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 助教 (00758617)
江木 啓訓 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30422504)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / 学習プロセス / プロジェクト型学習 / リアルタイム型授業 / ハイフレックス型授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、オンライン会議システムを利用したリアルタイム型のオンライン授業において、学生がどのように授業へ関わっているか、また、授業内のアクティブラーニングにおいてどのような支援が有効かを明らかにすることである。前者は学習者の学習プロセスに、後者はティーチングアシスタント(TA)による支援の効果に焦点を当てる。 本研究は、実際の大学教育現場を対象とした授業実践研究である。Zoom等を利用したリアルタイム型授業、かつプロジェクト型学習(Project-Based Learning)などのアクティブラーニングを実施している授業を対象とする。具体的には、研究代表者が所属大学で開講している学部2-4年生が受講可能な授業2つが対象である。 2022年度は、学習プロセスの把握において、これまで取り組んで来たGoogleスライドのようなグループで共有可能なリソース、リアルタイム型授業におけるチャット、また学習マネジメントシステムの組み合わせに着目した。2022年度の成果としては、①グループで共有可能なシステムを用いることで学習プロセスが捉えやすくなること、②リアルタイム授業におけるチャットでの一斉投稿の利用は、受講者の集中力を維持し、授業への関与を高めることを示した。また、①によって、TAや教員がグループ学習中の助言をしやすくなり、支援の効率性が高まることを明らかにした。 TAによる支援の効果については、学生自身の活動の進捗状況の認識に焦点を当てた研究を勧めている。プロジェクト型学習においてメンバー間の認識が一致していない場合は、実際の活動状況とTAや教員の指摘が乖離し、TAの支援が逆効果を持つ可能性が示されている。これらの成果の一部は日本教育工学会の研究会で発表した。また、学習者の学習観などに焦点を当てた関連研究については日本教育工学会の論文誌で採録された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、リアルタイムで学生の行動を計測する手法として、学生が何を記しているかをリアルタイムで把握するデジタルペンの利用を想定していた。これらのうちデジタルペンの利用は、リアルタイム型授業との親和性が必ずしも高くないことや統制が難しいことが判明したため、デジタルペンの検証は実践研究ではなく、実験研究として実施している。 2022年度は、授業実践において(90分×15回)、学生のグループ討議中の発話記録、チャットの入力記録、また授業内で利用しているGoogleスライドをはじめとするようなメンバー間のコラボレーション可能なツール、Moodleのような授業内の学習管理システム(LMS)の利用などのデータ、思考発話法をライティングに応用した手法を授業で応用し、データの蓄積を行い、分析を進めている。 同時並行のプロジェクトとして、受講学生に対するインタビュー研究、TAに対するインタビュー研究を進め、学習者の価値観や学習観と授業選択や、授業内での行動との関係について探索的な研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べた通り、学生が何を記しているかをリアルタイムで把握するためのデジタルペンを用いた研究については、実践研究から実験研究に切り替え、研究を進めている。既に予備実験を終えており、2023年度前半に研究倫理の審査を受けた後に実施を予定している。授業実践における研究は、2023年度より授業時間・回数が変更となり(100分授業・14回)となったが、春学期にリアルタイム型の授業、秋学期にハイフレックス型の授業を開講し、2022年度の知見を活かした研究を進める。具体的には、授業実践において(100分×14回)、学生のグループ討議中の発話記録、チャットの入力記録、メンバー間のコラボレーション可能なツール、Moodleのような授業内の学習管理システム(LMS)の利用などのデータを取得しつつ、思考発話法をライティングに応用した手法を授業で組み合わせて実施し、学習プロセスとTAの支援の効果の両方を評価する。受講学生に対するインタビュー研究、TAに対するインタビュー研究については、現在、論文として整理しており、学会発表や国際会議での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際会議や国内の学会が、新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン開催となったため旅費相当額が不要となったため。2023年度は国際会議が対面で行われる予定であると同時に、オンラインで実施された場合は、データ分析に必要な機器とPC環境のリプレイスを行う。
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Research Products
(8 results)