非教科型テストによる知識の活用能力の評価に関する研究

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 21K02849
• Research Institution: The National Center for University Entrance Examinations
• Principal Investigator: 椎名 久美子 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (20280539)
• Project Period (FY): 2021-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 非教科型テスト / 知識の活用 / テスト開発

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は，解答に必要な知識や情報を調べることが可能な状況で解くことを前提とするテストを想定して，大学で学ぶための基盤となる思考力や判断力を測定するための要件を明らかにすることである．本研究では，非教科型の多枝選択式テストに焦点を絞って，受験者が外部の情報源で調べることで補ってもよい知識の範囲や情報の種類を整理したり，解答過程を推定したりすることで，知識の活用に重点をおいたテストに変更するための要件を検討し，問題を解くために必要な知識を試験時間中に自分で調べる形式に変更することを試みる．
研究計画の初年度は，これまでの研究で試作した非教科型の多枝選択式テストの問題に関して，問題文中で与えている知識や情報の種類，測定を意図した能力の整理を行った．測定を意図した能力を，さらに細かい要素に分割できるかどうかについては，今後の吟味を要する．また，これまでの研究で蓄積した解答データと，正答を得るのに必要な能力の要素を結びつけた分析手法に関する示唆を得るために，学会の大会やワークショップへの参加を通じて，テストで測定される能力の構造分析や，認知診断モデルなどに関する情報収集を行った．
今後の展開としては，高得点者群と低得点者群の識別力が高い問題に着目して，正答選択枝や誤答選択枝がどのような解答過程を経た場合に選ばれるのかを推定し，測定を意図した能力と，知識や情報の活用の関係を分析する計画である．

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

他の研究プロジェクトで実施した質問紙調査で，回答データの精査に予想より時間を要したため，本研究に費やす時間が予定より少なくなった．

Strategy for Future Research Activity

非教科型テストで測定を意図した能力と，知識や情報の活用の関係を分析する際に，認知診断モデルの適用を試みる．また，学会の大会等に参加して，非教科型テストで測定される能力に関する研究の動向を把握することで，本研究への示唆を得る．

Causes of Carryover

これまでの研究で試作した非教科型の多枝選択式テストの問題を整理する際に，パソコンや記録媒体を購入せずに既存のものを活用したため，次年度使用額が生じた．次年度使用額は，分析のためのパソコンを購入すると共に，情報収集のための学会参加費や図書の購入，分析のためのソフトウェアの購入にあてる予定である．